日本女子プロゴルフツアー通算14勝で、先月24日にSNSで「妊活に専念する」ため、当面の休養を発表した有村智恵(フリー)が18日、決断や発表を決めた思いを明かした。「ツアーから退く=幸せな道じゃない、少し負けてる感じの印象になりがちだと思うんです。でもそうではなくて。ツアーから離れることが決断の1つでもあるということを、今ツアーで頑張っている選手にも知ってもらいたい。後輩たちに(姿を)見せていけたらいいなと思っています」
ただ、今回の決断を発表することには迷いもあった。そんな中、東北高時代の先輩・宮里藍さん、同学年の原江里菜を自宅に招いた際に「どう思いますか?」と相談。藍さんからは「人によって捉え方は違うし、いい意見も、良くない意見も必ずあることだから、自分が納得して、自信を持って行けるような形が一番いいと思う」と言ってもらった。原からは「(有村が)発表することで、そういう決断しても応援してくれる人たちがたくさんいると知れた後輩たちがすごく勇気をもらえると思うよ」。2人の考えも踏まえた上でやはり「後輩たち」に姿で示していくことが自身の背中を押した。
昨年12月に一般男性との結婚を発表。今季は活躍度を示すメルセデス・ランクで61位となり、来季のシード権を逃した。そして「妊活」を発表した。「夫は寂しかったと思いますね。応援楽しかったと思うので」。ただ、ツアーや試合には「全く出ないわけではない」とし、「(35歳の)今じゃないと、子供を産んでから戻れないかもしれないよ」と夫に話して、夫婦で決めた。休養の期間は設けないとし「(子供の人数は)できたらたくさん欲しいけど、こればかりは授かり物。1人でも2人でもいいし、できなくても幸せになれると思っている」と話した。
この日は小田急百貨店新宿店(東京・新宿区)で契約する「ニューバランス」のイベントに出席した。交流を待ちわびた約50人のファンの前で2023年の一文字に「緩」を記した。「自分を緩ませることを一度やってみたい。これまでと違った形でゴルフを見てみたい」。現在はオフに入り、「めっちゃ緩い。でも逆に落ち着かないし、こんなに緩めていていいのかな」と慣れない様子。ただ、25日に女子プロ同士でのプライベートコンペが控えているそうで毎日クラブは握り、「勝負なので」と緩みきれずにいると笑う。
ツアーのトップを走ってきた有村はプロゴルファーとして、一人の女性としての「幸せとは」と考え続けて来た。「この決断が一つの正解だとは思っていない。私たちの業界は長くできるスポーツ。だからこその悩みだなと思うんです。私もこういう悩みを持つまで戦ってこられたことは幸せなことだなと、今は思いながらやっています」とまっすぐ見て話した。後輩たちに新たなの道筋を示すための、行動だった。