渋野日向子、ベースボールグリップで「特大ホームラン」 父助言で変更5日目「距離出る」


13番、ティーショットを放つ渋野日向子(カメラ・馬場 秀則)

13番、ティーショットを放つ渋野日向子(カメラ・馬場 秀則)

◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 第1日(8日、兵庫・六甲国際GC=6513ヤード、パー72)

 今季国内ツアー2戦目の渋野日向子(24)=サントリー=は5バーディー、3ボギーの2アンダー、70で7打差24位発進した。今大会から、導入してわずか5日目というベースボールグリップに握りを変更。サントリーと所属契約後では初となる大会出場で、豪快なショットを披露し、ギャラリーを沸かせた。岩井千怜(ちさと、20)=ホンダ=が9アンダーで単独首位に立った。

 野球のバットを持つように、10本の指全体でグリップを握る新スタイルとなった渋野が躍動した。「いい組だったので、ギャラリーも多かった。楽しめた」。昨季年間女王の山下美夢有(21)、昨年の全米女子アマ選手権覇者の馬場咲希(18)と多くの観客を引き連れ、豪快なショットで視線を奪った。

 20年にサントリーと所属契約後初出場。企業カラーの水色のウェアで所属先へ感謝を示した。開始の10番で4メートルのバーディーパットを沈め、勢いに乗った。15番は第2打を80センチにつける好ショット。終盤に7、8番の連続ボギーで後退も、2アンダーと上々の滑り出しだ。今季は左手親指付近のけがに悩まされてきた。

 大きな決断を下した。これまでは左手人さし指と右手の小指を絡ませて握る「インターロッキング」だった。それを4日の練習で父・悟さんに「やってみたら?」と助言され、通称テンフィンガーと言われる「ベースボールグリップ」へと変更。培ってきた繊細な感覚を失いかねない大胆な修正だが、「(左手への負担の)軽減というか、これからを考えて。ソフトボールのバットを握る感覚。意外にいいなと思った」と説明。「今週はバレないようにやろうと思ったけど、(フィニッシュで)親指出とるやん」と突っ込み、一時的なものでなく「長い目で見ている」と明かした。

 パターを除く全てのクラブをこの握りで振った。ショットが右に出るミスも消え、「ドロー(右に打ち出し左へ落ちる球筋)が出る。しっかり振れて、打ちたい球が打てる。ドライバーの距離も出ていた。100%に近いスイングができそうな気がする」と手応え。「特大ホームラン打ってる感じ(笑い)」と気分はスラッガーだった。ラウンド後は雨の中、2時間以上、練習に励んだ。「練習できるのはすごく幸せなこと」。ホステスプロとして上位進出に向け、闘志をたぎらせた。(岩原 正幸)

 ◆ベースボールグリップ(テンフィンガー) 左右10本の指全てを使って握ること。通常は右手小指を左手に絡める握り方が一般的。ゴルフ界には珍しいが、男子の時松隆光が有名で、丸山茂樹も左手親指付け根に痛みが出ないように17年から同グリップに変更した。

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