前週開催の国内女子ツアー、資生堂レディスは、19歳の桜井心那(ここな、ニトリ)が初優勝を飾った。2003年度生まれの「ダイヤモンド世代」では、2勝の川崎春花(村田製作所)、1勝の尾関彩美悠(あみゆ、JFEスチール)、1勝の神谷そら(郵船ロジスティクス)に次ぐ4人目の優勝者となった。1998年度生まれの畑岡奈紗や渋野日向子、勝みなみらの「黄金世代」を筆頭に、若年化が年々進む女子プロゴルフ界がさらに活気づいてきた。
選手たちも若手の躍動を実感している。優勝した桜井は「(ツアー優勝者の)年齢層が若くなっている。10代で勝ちたかった」と話した。だが、そんな実情に危機感を持つ選手もいる。ともに97年度生まれで、この大会で上位争いを繰り広げた宮田成華(なるは、フリー)と永井花奈(フリー)だ。
宮田は19年11月、4度目のプロテストで合格。今季の第1回リランキングは65位。9月末の第2回リランキングまでの期間、レギュラーツアーへの出場は厳しい状況となっている。この大会は欠場者が出ての繰り上がり出場でツアー自己最高の4位に入った。首位発進を決めた大会第1日には、「年齢的にそろそろ中堅。焦りは感じる」と率直な心境を吐露していた。
一方の永井は、14年にアマチュアの日本代表入り。16年7月、トップでプロテストに一発合格。17年10月の樋口久子・三菱電機レディスでツアー初優勝を成し遂げた。昨季は自己最高の約7453万円を稼ぎ、2年ぶり4度目のシード復帰を果たした。資生堂レディスは第2日に単独首位に立った。「押し出される部類になっていくのかな」。宮田と同じように、若年層の台頭に不安を覚えていた。
実は、記者も97年度生まれで同学年だ。今年5月に担当になる前は恥ずかしながら「黄金世代」を始め、近年優勝争いをしている選手しか知らない状態だった。今回、同年代の宮田、永井の話を取材を通じて聞き「この世代がもっと活躍して、ゴルフに詳しくない人にも知ってもらいたい」という思いが芽生えた。
記者は最近、休日もプロゴルファーのSNSを見ることが習慣になってきた。先日、97年度生まれの脇元華(GMOインターネットグループ)のインスタグラムでこんな投稿を見かけた。「名前が何もない世代!笑 私たちも○○世代とか言われるように」。21年3月に同学年の選手5人と笑顔の写真を載せていた。この投稿から2年以上たった今でも、この世代に呼称はつけられていない。
「ダイヤモンド世代」は、03年度生まれの選手たちが自ら「呼んで下さい」と発信して定着した。02年度生まれの仁井優花(エレコム)は、自らのヤーデージブックにイラストを描き入れていることから「ユニコーン世代」をひそかに推していると聞いた。今後の女子ツアー取材時に、97年度生まれの選手たちからも「何世代と呼ばれたいのか」と意見を聞いてみたいと思う。97年度世代が活躍した時に、それを記事にすることが今から楽しみだ。(ゴルフ担当・富張 萌黄)