岩井明愛&千怜姉妹、父が語る初海外メジャー同時出場 2チーム8人で費用1000万円超「(目玉)飛び出ますよ」


昨年のNEC軽井沢72でツアー初優勝した岩井千怜(左から2人目)と記念撮影する(左から)岩井明愛(1人おいて)母・恵美子さん、父・雄士さん

昨年のNEC軽井沢72でツアー初優勝した岩井千怜(左から2人目)と記念撮影する(左から)岩井明愛(1人おいて)母・恵美子さん、父・雄士さん

 米女子ゴルフの今季メジャー第3戦、全米女子オープンは6日、カリフォルニア州ペブルビーチGL(6509ヤード、パー72)で開幕する。日本勢は過去最多21人が出場予定。今季国内ツアーで大活躍する双子の岩井明愛(あきえ)、千怜(ちさと)=ともに20、ホンダ=が日本人で初めて姉妹でのメジャー同時出場を果たす。双子そろってのメジャーデビューは世界でも超異例。父・雄士さん(50)が、出場までの道のりを振り返り、まな娘たちへエールを送った。

 日本ツアーで奇跡的な快進撃を見せてきた岩井ツインズが、いよいよ初のメジャー舞台に挑む。5月29日の日本地区最終予選。姉の明愛がトップ通過で全米の出場切符をつかむと、父・雄士さんは「一番はホッとした」と胸をなで下ろした。同1日付の世界ランクで先に千怜が出場権を獲得。「(ダメでも)一緒に連れていって見せようかと思っていた」と笑う。本格的にプロを志した高校時代から「一緒に海外メジャー出場」は、岩井家にとっての夢になっていたという。

 アマチュア時代は遠征費など金銭面の壁が立ちはだかり、予選会のエントリーも見送った。「出られても、お金がなくて連れていけない」。全米の予選会はプロになって出る、と家族で決めた。ツアー参戦1年目の昨季は、限られた試合数で通年の出場権を確保するのに必死だった。姉妹でシード選手となった今季、ようやく挑戦する環境が整った。

 今遠征には選手、両親、キャディー、スタッフを含めて8人態勢で臨むという。移動の経費、ホテルの宿泊代など試算すると出費は総額1000万円超。父は「(目玉が)飛び出ますよ。2つのチームで行くわけだから」と金額を目の当たりにし、驚きを隠せなかった。

 今季は明愛が1勝、千怜が2勝と国内で順調にトッププロへの道を歩む。5月の双子姉妹プレーオフなど、ツアー初の歴史的偉業もやってのけた。父は「幸せな気持ち」と率直に話す一方で「一生懸命頑張っている他のプロがいる中、うちの子がたまたま調子がいい」と恐縮する心境も明かした。

 会場では、娘たちをジュニアの頃から「笑顔で楽しんでこい」と送り出す。21年のプロテスト前には母・恵美子さん(48)と「1人受かって、1人落ちたらどうしよう」と心配もしながら常に温かい目で成長を見守ってきた。

 全米女子オープンの賞金総額と優勝賞金は未定だが、昨年は史上最高額の総額1000万ドル(当時レートで約13億円)で優勝が180万ドル(同約2億3400万円)だった。家族で挑む世界最高峰の舞台へチャレンジ精神はプライスレス。父は「印象を残したいですね」とティーオフを心待ちにしている。(岩原 正幸)

 ◆世界の主な双子ゴルファー

 ▽マグワイア姉妹 アイルランドの28歳。妹のレオナは元アマチュア世界ランク1位で、22年米女子ツアーのドライブオン選手権でアイルランド人初優勝。16年リオ五輪(21位)、21年東京五輪(23位)にも出場。姉のリサは元アマ世界ランク10位で、18年にプロ転向も19年11月に故障で引退。

 ▽ホイガード兄弟 デンマークの22歳。21年8月の欧州「DPツアー」でオメガ欧州マスターズで、弟・ラスムスがツアー3勝目。翌週のイタリアオープンを兄・ニコライが制し、ツアー史上初となる双子2週連続優勝の快挙を成し遂げた。

 ◆日本の出場21選手 岩井姉妹、笹生優花、古江彩佳、西村優菜、畑岡奈紗、西郷真央、野村敏京、渋野日向子、勝みなみ、山下美夢有、川崎春花、上田桃子、吉田優利、佐藤心結、木下彩、三ケ島かな、脇元華、上原彩子、アマチュアの馬場咲希、長野未祈

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