◆女子プロゴルフツアー CATレディース 最終日(20日、神奈川・大箱根CC=6638ヤード、パー72)
首位で出たプロ8年目の蛭田みな美(26)=ユアサ商事=が5バーディー、2ボギーの69で回り、通算13アンダーで並んだ西郷真央(21)=島津製作所=とのプレーオフ(PO)を1ホール目のバーディーで制し、涙のツアー初優勝を飾った。14年の日本女子アマ覇者は16年7月のプロ入り後、近年はパターイップスなどに陥り、これまでシード獲得はなし。苦難の道のりを経て、ツアー歴代19番目のスロー記録となる通算179試合目で初タイトルを手にした。
18番パー5でのPO1ホール目。蛭田は残り157ヤードの右ラフからの3打目を傾斜を使ってピンそば1メートルに寄せた。「奇跡でした」と振り返るスーパーショットから、初優勝を決めるパットを沈めた。プロ8年目。アマの頂点に立って注目された存在だったが、7年以上も苦しい戦いが続き、自然とうれし涙があふれ出た。
「長かった。このまま勝てないで終わっちゃうのかなって」。最難関16番のバーディーで2打リードも、正規の18番で2メートルからまさかの3パットボギー。50センチのパーパットがカップに蹴られ、西郷に追いつかれると、ぼう然とした。3歳でゴルフに導いた、キャディーの父・宏さん(63)から「全然大丈夫」と言われ、「持ち直せた。仕方ないと思うしかない」と必死に切り替えた。
2年前からはパターのイップスに陥り、「3パットの女王だった」と父は言う。最終日最終組は3度目だが、本格的な優勝争いは初めて。「箸にも棒にもかからなかった」とシードは取れず、終盤は予選会に回るサイクルが続いた。パットではインパクトの緩みを改善し、昨年末にトレーナーをつけ、瞬発系の動きを取り入れたことで飛距離が10~15ヤード伸び、今季はプレーに過去最高の手応えをつかんでいた。
97年度生まれの日本人では17年の永井花奈に続く2人目の優勝。畑岡、渋野ら「黄金世代」の1学年上で、後輩たちの優勝する姿を見守るしかなかった。これまでのプロ生活が凝縮されたような最終日のラウンド。26歳で「信じられない」とつかんだ頂点の景色をかみ締めた。(岩原 正幸)