◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー第3戦 日本女子オープン 第3日(30日、福井・芦原GC海C=6528ヤード、パー72)
ツアー通算4勝の原英莉花(24)=NIPPON EXPRESSホールディングス=が、通算11アンダーで単独首位に浮上した。3打差2位で出て6バーディー、2ボギーでこの日最少の68をマーク。ロングパットがさえた20年大会覇者が、ツアー年少4番目(24歳228日)でのメジャー3勝目に王手をかけた。通算6勝で初メジャーVを狙う菊地絵理香(35)=ミネベアミツミ=が1打差の2位。
まさに勝負師の顔つきだった。日本海の波音が聞こえる最終18番パー5、原は5メートルのバーディーパットに全神経を集中させた。「入れる気持ちで打った」。カップに吸い込まれると、右拳を握った。「今日は運が良かった。いい転がりで吸い込まれていく感覚があった」。1差の単独首位で3日目を終え、高ぶる気持ちを抑えるように語った。
3打を追い、菊地との「エリカ対決」となった2サムでの“ムービングサタデー”。「いいパッティングが決まってくれた」と1番で7メートル、3番で「あれは奇跡」と驚く22メートル、8番では9メートルのバーディー。前半のうちに追いつき「自分のプレーに徹しながら楽しめた」。前日(29日)、「プッシュが出た」とパットで押し出し気味だったことから「順回転にできるようにストロークを練習した」という。修正が実り「ショートパットに不安がない分、少し強めに打てた」と分析した。
スイングの不安もない。5月に腰の手術を受け、8月上旬からツアーに復帰し、8試合目。復帰後は9位が唯一のトップ10だが「前週からドライバーがいい感覚」と、ツアー屈指の飛ばし屋は調子を上げて国内最高峰のメジャーを迎えた。この日は4つあるパー5全てでバーディー。最少68に「フェアウェーに置けていることが大きい」とうなずいた。
今週は宿舎の温泉でリラックスし「疲れを残さないでプレーできている」と、腰への効果もバッチリだ。優勝した3年前は無観客開催だったが、今回は7000人近いギャラリーに「本当に声援が力になる」と感謝。20年大会、同年のJLPGAツアー選手権リコー杯に続く、メジャー3勝目へ「いい形で終えられるように、自分を信じてプレーできたら」。17日からは来季米ツアーの2次予選(フロリダ州)が控える。ビッグタイトルを手土産に渡米する。(岩原 正幸)