金谷拓実、飛距離アップで躍進、病気の母へ恩返しVだ…日本シリーズJTカップ11月30日開幕


抜群の安定感を見せる金谷拓実

抜群の安定感を見せる金谷拓実

 2023年シーズンの国内男子プロゴルフツアー最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップは30日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりCC(7023ヤード、パー70)で開かれる。今年のツアー優勝者をはじめ、賞金ランク上位者ら総勢30人が出場。出場予定の9選手を連載で紹介する。第4回は金谷拓実(25)=Yogibo=。

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 強い気持ちでメジャー初制覇を成し遂げた。6月のBMW日本ツアー選手権森ビル杯。初日から首位を走って完全V。優勝スピーチで金谷は目を潤ませながら「勝って元気づけたかった」と母・美也子さんが乳がんであることを明かした。

 発覚したのは昨夏。当時は海外遠征が多く「母の前でプレーする姿を見せたいとすごく感じていた。応援に来てくれた時はすごくうれしかった」。実はツアー選手権の前週、実家に近い岡山開催大会に母の姿があった。アマ時代、車で送り迎えしてほぼ毎試合同行してくれた最愛の人の前で約2年ぶりの勝利を…。だが、わずかに1打及ばず。「生で優勝する姿を見せたかった。悔しさもあってリベンジというか、優勝できてよかった」と並々ならぬ思いでメジャーの難設定を攻略した。

 元アマ世界ランク1位の逸材は海外志向が強く、2月にオマーンでのアジアンツアーで初優勝。「ティーショットの飛距離が伸びていて、フェアウェーをキープする回数や精度も良くなった」。今季国内17戦でトップ10入り11回、予選落ちなし。世界で戦うため体づくりに力を入れ、今季平均飛距離は3ヤード伸びて約291ヤードに。勝負強いパットに加え「よりアグレッシブになった」と攻撃的なゴルフで賞金ランク2位と躍進した。

 日本シリーズは20年5位、21年3位と好相性だ。「優勝できたらうれしい」。賞金王となり、恩返しする。(瀬川 楓花)

 ◆金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島・呉市生まれ。25歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年の日本アマ選手権で17歳51日の大会最年少V。東北福祉大で18年アジア太平洋アマ選手権優勝。19年の三井住友VISA太平洋マスターズでツアー4人目のアマVを達成。20年にプロ転向し、同年11月のダンロップフェニックスでプロ初V。通算5勝。172センチ、75キロ。家族は両親と兄。

 ◆1996年第33回(ジャンボの記録的優勝) 尾崎将司(当時49)は初日にコースレコードに並ぶ62で首位発進を決めると、2日目も68で通算14アンダー。3日目は65で2位に5打差をつけて独走態勢に。最終日は2イーグル、3バーディー、2ボギーの67をマーク。パー72のコースでは日本最少記録(当時)となる通算26アンダーで自身2度目の大会2連覇。歴代最多の大会7勝目をプロ通算101勝目で飾り、獲得賞金は2度目の2億円を突破し、3年連続10度目の賞金王に輝いた。

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