◆欧州男子プロゴルフツアー カタール・マスターズ最終日(11日、カタール・ドーハGC)
首位タイで出た日本ツアー通算6勝の星野陸也(27)=興和=が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算14アンダーで欧州ツアー初優勝を飾った。本格参戦2年目で、日本人では青木功、松山英樹、久常涼に続く4人目の同ツアー大会制覇。参戦当初は体重が4キロ減るなど食事面での苦難を乗り越え、頂点を手にした。ウーゴ・クサル(フランス)が1打差の2位だった。
サッカーのアジア杯の地元優勝に沸いたカタールで、日本の27歳が快挙を達成した。星野が昨年の久常以来となる日本人4人目の欧州ツアーを制覇し「素晴らしい大会で優勝できて、本当にうれしい」と“ドーハの歓喜”に酔いしれた。
3人がトップに並んで迎えた16番パー4。実測300ヤードと短いホールで自慢の飛距離を生かした。第1打をグリーン手前に運ぶと、60センチに寄せるバーディーで抜け出した。17番も8メートルの連続バーディー。最終18番パー5は1メートルのパーパットを沈め、ガッツポーズ。「最後のパットは心臓の音が聞こえるくらい緊張した」。両手を高く上げ、安どの笑みを浮かべた。グリーン脇で待っていた川村、中島と笑顔で抱き合い、祝福の言葉をかけられた。
22年の日本ツアー賞金ランク2位の資格で初参戦した昨季、6月のBMWインターナショナルで3位などポイントランク81位でシード選手に昇格した。昨年11月の今季開幕からは、ともにオーストラリアで開催された2戦で連続2位と優勝争いを演じていた。
1年目の昨季、最も苦しんだのが食事面だった。「ただでさえ試合で疲れて食べられない。夜ご飯がパンなんて想像できない…」。現地ではパン、パスタ、イモ類が主食。「半年間は結構つらかった」。23年初めから秋にかけて体重が4キロ落ちたが、「最近は欧州の食事に慣れてきたのが大きい。我慢して食べたかいがあった(笑い)。米を食べないと限界というのもなくなった」と徐々に生活に慣れ、本来の力を出せるようになってきた。
前週まで日本勢4番手の世界ランク107位。今回の優勝で上昇が見込まれ、6月下旬までの争いで同2番手以内で今夏のパリ五輪で、2大会連続出場も見えてくる。「本当にたくさんの方に支えられてきた。感謝しかない」。近い将来、米ツアーを目指す国内屈指のパワーヒッターが夢への一歩を刻んだ。
◆星野 陸也(ほしの・りくや)1996年5月12日、茨城・友部町(現・笠間市)生まれ。27歳。6歳からゴルフを始め、水城高2、3年時に関東ジュニアで優勝。15年に日大進学も2年で中退し、16年にプロ転向。18年フジサンケイクラシックでツアー初優勝。通算6勝。21年東京五輪38位。昨年から欧州ツアーに本格参戦。愛称は「リッキー」。中学時代は卓球部に所属。186センチ、80キロ。家族は両親と姉、妹。