◆米男子プロゴルフツアー ジェネシス招待 最終日(18日、カリフォルニア州リビエラCC=7322ヤード、パー71)
松山英樹(31)=LEXUS=が6打差7位から逆転し、アジア勢で単独最多となるツアー9勝目を飾った。9バーディー、ボギーなしでこの日最少の62をマークし、通算17アンダー。ここ2年、首などの痛みに苦しんだが、2022年1月ソニー・オープン以来、約2年ぶりとなる復活の優勝で高額優勝賞金400万ドル(約6億円)を手にした。3打差の2位にウィル・ザラトリスとルーク・リスト(ともに米国)が入った。
忘れかけていた瞬間をかみしめるようにぐっと拳を握った。松山は最終18番、1メートルのパーパットを沈め、3打リードでクラブハウスリーダーとして待った。待ちに待った2年ぶりVの吉報が届くと「8回目の優勝からすごく長く感じた。トップ10も全然入れず、優勝できないんじゃないかって」と漏らした。昨年3月を最後にトップ10に入れず、遠くにも見えなかったであろうタイトルを手にした。
大逆転劇だった。6打差を追い、2番のチップインなど3連続バーディーで発進。12番では14メートルを沈め、再び3連続バーディーで1打差2位まで迫ると、勢いは止まらない。15番で「完璧なショット」とピン20センチ、16番は15センチにつけるスーパーショット。さらに17番も伸ばし突き放した。パット数は23。「これだけショートゲーム(の出来)で優勝できたのは初めて」と驚いた。コースレコードに1打届かずも「これ以上望めない」と自画自賛した。
勝因の一つに「かなりいい状態でプレーできていた」と挙げた。2年前に首痛を発症した。痛みで練習が積めず、ショットに影響が出た。昨年までは「痛みがいつ出るのか不安なままやっていた」と明かしたが、昨オフは「けがを治すのが一番」とほとんどクラブを握らなかった。今では「寝る時も不安なく寝られている。ストレスフリーでできている。もう少ししたら上位にいける雰囲気はあった」と手応えはあった。
通算8勝の崔京周(チェ・キョンジュ、韓国)を超え、アジア勢単独最多の9勝目を手にした。「一つの目標だったので、超えることができてうれしい。次は2桁に乗せたい」。今大会は年間8試合の高額賞金、高ポイントの「格上げ大会」で400万ドルの優勝賞金を獲得。年間ポイントランクは3位、世界ランクも前週の55位から20位にジャンプアップした。20位以内は昨年3月以来だ。
「いいプレーができたことを自信に変えて、マスターズまでにしっかり高めていければ」と4月11日開幕の今季メジャー初戦を見据えた。強い松山が戻って来た。
◆松山に聞く
―最終日のプレーを振り返って。
「ショットは望んでいたものとかけ離れていたが、パットに助けられた。こういうショットでも勝てるんだと自信もついた」
―15番第2打はベタピンにつけた。
「左からのアゲンスト(の風)で6アイアンでカットを打って。完璧だったので、ついてくれと思って見ていた」
―久々の優勝。
「やっと、ワールドランキングが下がっていくのも止められたので良かった」
―アジア勢最多の9勝。
「丸山(茂樹)さんの3勝を抜いた時に『早くKJ(チェ・キョンジュ)さんの8勝を抜いて』と(周りから)言われた。やっと抜くことができてうれしい」
―タイガー・ウッズのホスト大会で勝った。
「この試合で優勝することは目標の一つだった。一緒に写真を撮りたかったけど残念」