マスターズ初出場の21歳が松山英樹から“王者の教え” 「AON」も果たせなかった大記録に挑む


グリーン上で、一緒に練習ラウンドした松山(右)から助言を受ける久常(カメラ・高木 恵)

グリーン上で、一緒に練習ラウンドした松山(右)から助言を受ける久常(カメラ・高木 恵)

 【オーガスタ(米ジョージア州)9日=高木恵】男子ゴルフのメジャー初戦、マスターズは11日にオーガスタ・ナショナルGCで開幕する。特別招待選手として初出場する久常涼(21)=SBSホールディングス=は、2021年大会覇者の松山英樹(32)=LEXUS=と1番からの9ホールを練習ラウンド。王者とのコースチェックを味方に、決勝進出を果たす。

 自然と笑みが漏れる。憧れの地で喜びをかみしめながら、久常はコースに出た。全てが初めての経験。大勢の観客の視線を浴びながら回る練習ラウンドに「ふわふわしている」と正直な気持ちを打ち明けながら「自分は一番のチャレンジャーなので気負うものもない。楽しみな気持ちが大きい」。開幕へ、気持ちを高ぶらせた。

 この日は松山とアウト9ホールをともにした。2週前に会場でのラウンドを済ませていたが、マスターズウィークのコースは初めて。「グリーンが硬かった。松山さんも『お?』って言われるくらいだった」。格段に難易度が上がったセッティングに戸惑う中、21年大会王者とのラウンドは何よりの“精神安定剤”となった。

 13度目の出場でコースを熟知する先輩との9ホールは、学びの連続だった。グリーン周りのアプローチ、ラインの取り方について助言を受けた。「僕が見ていた所と、全く違う所を使って寄せていた。そのように僕が打てる自信はないけど、それを知れたので少しコースのことを分かった。しっかり準備してやっていきたい」と王者の教えに感謝した。

 昨年9月に欧州ツアーのフランス・オープンを制し、日本選手初のルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。今年から米ツアーに本格参戦している。初メジャーがマスターズ。「一番出たい試合だったので、そこに出られるっていうのはびっくり。超有名プロっていうか、超スターしかいない試合。一番近くで見られるギャラリーなので最高です」と笑った。

 初出場の日本勢にとって、決勝ラウンド進出の壁は高い。01年に伊澤利光が4位に入ったことはあるものの、青木功、尾崎将司、中嶋常幸の「AON」、丸山茂樹は予選落ちを喫している。「毎年来られるようにこれから頑張っていきたいし、今週まずは4日間プレーしたい」。21歳の挑戦者が、夢の舞台で上位への道を切り開く。

 ◆久常 涼(ひさつね・りょう)2002年9月9日、岡山県生まれ。21歳。3歳でゴルフを始める。作陽高1年時に全国高校選手権優勝。2年時の19年から2年間アマチュア日本代表でプレー。20年12月にプロ転向し、下部ツアー、ジャパンクリエイトチャレンジで初優勝。同ツアーで年間3勝し、レギュラーツアー出場権を獲得。7試合全て予選通過でシードを獲得。23年9月、フランス・オープンで欧州DPツアー初優勝。同年、同ツアーで日本選手初の新人王に選出された。175センチ、81キロ。

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