松山英樹、あす11日開幕マスターズ優勝候補番付で自己最高4位 3年ぶりVへ「もう一回、その場所に戻れるように」


練習場で笑顔を見せる松山英樹(カメラ・高木 恵)

練習場で笑顔を見せる松山英樹(カメラ・高木 恵)

 【オーガスタ(米ジョージア州)8日=高木恵】男子ゴルフのメジャー初戦、マスターズは11日にジョージア州オーガスタ・ナショナルGCで開幕する。2021年大会覇者の松山英樹(32)=LEXUS=が8日、会場で公式会見に臨み、「もう一度、その場所に戻れるように頑張りたい」と3年ぶり2度目の頂点へ意欲を語った。この日、米ツアーから発表になったパワーランキング(優勝候補番付)では、大会自己最高の4位にランクインした。

 海外メディアも多数、集った公式会見中の20分、松山は終始、穏やかな表情で雄弁に思いを語った。「2021年に優勝することができたことは、すごくうれしかった。もう一回、その場所に戻れるように頑張りたい」。グリーンジャケットに身を包んで迎えるツアー節目の10勝へ、イメージを膨らませた。

 導線の外から「HIDEKI~!」のエールが飛んだ。午後0時3分に練習場に姿を見せた松山は、歓声に笑みで応じた。8日発表のパワーランキングでは、メジャー4勝のロリー・マキロイ(英国)の上をいく4位につけた。現地のゴルフ専門チャンネルでは「昨年まで4年連続20位以内の選手」として、22年大会覇者で世界ランク1位のスコッティー・シェフラー(米国)とともに紹介されるなど今年も注目を集めている。

 7日が最終日だった前哨戦のテキサス・オープンは7位。同日夜にプライベートジェットでオーガスタ入りした。この日はラウンドはせず約3時間、練習場で調整。アイアン型のユーティリティーを試す場面もあった。初出場の久常涼や1992年大会覇者のフレッド・カプルス(米国)らと談笑。「ここでプレーすることが楽しみ」と語ったオーガスタならではの雰囲気に、心地よさげに身を置いた。

 今大会は2番パー5のティーグラウンドが真後ろに10ヤード下がり、585ヤードに改造された。右のバンカーまでの距離は308ヤードに延びた。昨年は全ラウンド(R)でドライバーを握り、3度右バンカー方向へ。第1Rが手前、第2Rは右、第3Rはつかまった。「風向き次第では入ると思うけど、普通に打てば届かないと思う。逆に楽になるかも」。昨年はバーディー以上が全体の47%を占めたホールで、確実にスコアを伸ばしたい。

 2月のジェネシス招待で2年ぶりに優勝。今季9戦でトップ10は3度と、好調を維持して13回目のマスターズに乗り込んできた。「結果的に上位で3試合やれたけど、そこまで納得いくようなゴルフはできていなかった。いい準備ができているかといったら、そうでもない」と自己評価しつつ「まあ、13回目なので、何となく回ります」。そう冗談めかした姿に、王者の貫禄が漂った。

 ◆松山に聞く

 ―オーガスタに戻ってくるときの心境は?

 「(歴代優勝者が集う大会前恒例の)チャンピオンズ・ディナーの時、毎年グリーンジャケットを着るのはすごくうれしいなと思いながら、帰ってきている」

 ―コースはウェットとドライ、どちらがいい?

 「僕が出た中では、乾いていたらダニー(ウィレット)が優勝した2016年のスコアが一番低かった(5アンダー)。ウェットだったら、ダスティン(ジョンソン)が勝った2020年は20アンダー。両方、面白いなとは思う。ただ、20アンダーまで行かれると僕にはチャンスがないかなと思うので、10アンダー前後でセッティングしてもらえたら、うれしい(笑い)」

 ―ここでの成功を経て、トーナメントへの準備は変わった?

 「以前は前の週の試合には出ていなかったけど、勝った年から毎年出るようになった。試合勘をそのまま、ここで出すことができていると思う部分と、連戦をする分、疲れもある。ベストな方法が何かというのは、いまだに分かっていない」

 ―前週からの連戦で、準備は整っているか?

 「(16位だった)去年、(14位だった)おととしに比べたら、(体の)痛みも少ない。そういう意味ではいい」

 自己最高番付 〇…開幕に先立ち、米ツアーの公式サイトで恒例の優勝予想番付が発表された。16位だった23年大会の予想番付は11位だった松山は自己最高の4位に急上昇。2月のジェネシス招待でのツアー通算9勝目、以降は12位、6位、前週は7位と好調維持。15年以降は8度の大会トップ20入りなどで高く評価された。マスターズ5勝のタイガー・ウッズ(米国)、昨季欧州ツアーで初優勝し今季から米ツアーで戦う久常涼は圏外だった。

 ◆お土産は毎年フラッグ100枚 11年連続13度目の出場となる松山に、海外メディアから質問が飛んだ。「今もショップに行くのか。毎年必ずここで購入するものはあるのか?」。壇上で「うーん…なにかなあ…」と、しばし考えた後、「フラッグは毎年100枚以上買っています。あげる人もたくさんいますし」と明かした。

 フラッグはゴルフ大会のお土産や記念品の定番で、最も人気がある。マスターズの旗は黄色地に中央に大会ロゴ。松山は毎年、旗にサインをして、スポンサーや関係者に感謝の気持ちを込めて贈り続けている。チャンピオンは大会ロゴの中央にサインをするのが慣例だ。優勝した2021年大会のフラッグのみ、堂々、ど真ん中にサインがある。

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