「ゴルフ人生で一番のラウンド」桂川有人が日本勢6人目の欧州ツアー初V 3打差8位から逆転


富士山を背にポーズをとる桂川有人(カメラ・今成 良輔)

富士山を背にポーズをとる桂川有人(カメラ・今成 良輔)

◆男子プロゴルフツアー ISPSハンダ 欧州・日本トーナメント 最終日(28日、静岡・太平洋C御殿場C=7262ヤード、パー70)

 3打差8位から出た、所属契約を結ぶ大会ホストプロの桂川有人(25)=国際スポーツ振興協会=が7バーディー、ボギーなしの63をマークし、通算17アンダーで逆転優勝を飾った。日本勢の欧州制覇は青木功、松山英樹、久常涼、星野陸也、中島啓太に続く6人目となった。昨季は米下部ツアーに挑戦したが、シード権を獲得できずに日本で再出発。10月までの今季残りを含めて3季分の欧州シード権を勝ち取り、再び世界に打って出る。

 18番でパーパットを沈めると、桂川は大きく息を吐いた。最終組の3つ前から見せた大まくりで逆転優勝。「ゴルフ人生で一番のラウンドかもしれない。高いステージに上がるために練習してきた。これで欧州ツアーに参加できるのでうれしい」。2位に3打差をつける完勝で、日本勢6人目の欧州ツアー制覇を成し遂げた。

 10番でトップにいることを知った。緊張が襲い、グリーン上で手が震え出した。「こういう時、外しちゃうよな」。頭に浮かぶマイナス思考を必死に追い払い「自分はできると思い込んだ」。14番で110ヤード第2打を2メートル半につけ、15番では10メートルをねじ込みガッツポーズ。16番ではグリーン奥からの6メートルをパターで沈めて3連続バーディーを奪い、一気に後続を突き放した。

 昨年10月からかつて松山英樹も師事した目沢秀憲コーチ(33)の下、課題だったショートゲームを強化してきた。「感覚だけでやっていた。一から教えてもらい、知識を書き換えることができた」と成長を実感。この日の13番パー3で第1打をグリーン左に外しながらパーをセーブ。トレーニングにも力を入れ、平均飛距離が302ヤードまで上昇。相対的なゴルフ力の進化があった。

 昨年は米下部ツアーに初挑戦し、ポイントランクで130位でシード権を得られずも「後悔はない」と言い切る。空港で言葉が全く通じず苦労したことも、ゴルフができる喜びに比べたら何てことはない。1年での撤退を余儀なくされたが、串田雅実キャディーが「漢(おとこ)」と言い切る愚直な25歳ははい上がった。

 欧州のポイントランクで10位以内に入れば、翌シーズンの米ツアーの権利を獲得できる。「そこを目指してやっていきたい。強い選手と戦ってみたい。小さい頃からの憧れの場所だから」。次週は地元で日本ツアーの中日クラウンズに出場し、欧州転戦準備を進める。世界への道を切り開いた大きな1勝だった。(高木 恵)

 ◆桂川 有人(かつらがわ・ゆうと)1998年10月9日、愛知・清須市生まれ。25歳。シングルプレーヤーだった祖父の勧めで4歳からゴルフを始める。通信制のルネサンス豊田高に進み、フィリピン・マニラに3年間のゴルフ留学。日大で18年日本学生選手権優勝。20年にプロ転向し、22年にコロナ禍で日本ツアー単独開催された「ISPSハンダ 欧州・日本トーナメント」で日本ツアー初優勝。167センチ、70キロ。家族は祖父と母。

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