オフにアキバでライブを行った昨季2勝の“自称アイドル”女子ゴルファー・菅沼菜々が首位浮上


18番でバーディーを奪い声援に応える菅沼菜々(カメラ・今西 淳)

18番でバーディーを奪い声援に応える菅沼菜々(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第2日(3日、茨城GC東C=6665ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 14位で出た菅沼菜々(24)=あいおいニッセイ同和損保=が6バーディー、1ボギーでこの日のベストスコアとなる67をマークし、通算6アンダーで単独首位に浮上した。前週まで出場8戦中予選落ちが6度と低迷し、一時は「病んだ」という“自称アイドル”が大舞台で復調。初のメジャー制覇へ、ファンの応援を力に逃げ切りをはかる。佐久間朱莉(21)=大東建託=ら3人が5アンダーで2位につけている。

 最終18番のグリーンが、菅沼のステージと化した。「無心で打った」という8メートルのバーディーパットをねじ込み、満員のスタンドを沸かせた。「調子が良くて優勝争いをしているときに、あんな感じでたくさん応援をいただいていた。それを思い出した」。歓声を全身で味わい、極上のスマイルをファンに返した。

 2勝し迎えた今季、前週まで出場8戦中予選落ちが6度と低迷した。2月に右膝を痛めたことが原因だった。約2週間球が打てず、回復後はフォームが崩れた。痛みへの恐怖から、飛距離は9アイアンで10ヤードも落ちた。「先週から思うようなショットが打てるようになってきた」。復調を遂げ、今季初の60台を記録した。

 最近4年は2戦連続予選落ちさえなかっただけに、開幕後の2か月間は「病んでいた」という。試合会場で仲間に励まされては涙があふれた。「泣いている暇はないから頑張ろう」と思いながら、また泣いた。父・真一さんは「18年にプロテストに受かってから長いスランプがなかった。安定していただけに苦しかったはず」と思いやった。

 “自称アイドル”を公言する菅沼の元に、批判的なコメントが届くことも多い。オフのテレビ出演後には「練習しろ」、「遊んでいるからだめなんだ」の言葉が目に入った。ゴルフにもしっかり取り組んできた自負がある。「思われるのはいいけど、直接コメントを書かれると、全く傷つかないというわけではない」。今年4月にSNSのコメント欄を封鎖した。アンチに目を向けることをやめ、ファンの愛に包まれ生きている。

 コースでは常に見られていることを意識する。この日のポニーテールの毛先は両巻きカール。朝、5分で仕上げたものだ。この日は1万人を超える大観衆が訪れた。「たくさんの方に来ていただいた方が燃える。ゴールデンウィークなので、たくさんの方にいいプレーを届けられるように頑張りたい」。メジャーの舞台で、菅沼の笑顔はさらに輝く。(高木 恵)

 ◆アキバでライブ「学園天国」など熱唱

 菅沼はオフの1月中旬、“アイドルの聖地”東京・秋葉原でファン約150人を集めてイベントを開催した。ライブハウスでクイズ大会やトークショー、歌も披露。「学園天国」、「LOVEマシーン」を熱唱し、ファンも総立ちでペンライトを回して盛り上がった。ゴルフ場では、観客はプレー中は静かにし、選手がバーディーを取った時しか声を出せないが「ファンの方と触れ合って、みんなで歌いたい」との思いから実現した。周囲には「来年はもっと盛大にやりたい」と話しているという。ペンライトの光が飛び交うライブ―。初のメジャー優勝後の“ファンミーティング”での光景を描いている。(岩原 正幸)

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