30歳幡地隆寛が9年目で初優勝 「未完の大器」と呼ばれた男を本気にさせた出会い


2番、ティーショットを放つ幡地隆寛(カメラ・谷口 健二)

2番、ティーショットを放つ幡地隆寛(カメラ・谷口 健二)

◆男子プロゴルフツアー 関西オープン 最終日(19日、滋賀・名神八日市CC=6869ヤード、パー70)

 首位と1打差の2位で出た幡地(はたぢ)隆寛(30)=ディライトワークス=が5バーディー、2ボギーの67で回り、通算14アンダーでツアー初勝利を挙げた。19位から出た石川遼(32)=カシオ=は連日の65をマークし、通算8アンダーで今季自己最高の5位に入った。

 ウィニングパットを沈めた幡地は、右拳を何度も揺らした。9年目にして迎えた歓喜の瞬間。「達成感と苦しい一日からの解放感と。その両方がこみ上げた」。ドライバーショットはキャリーで310ヤードを誇るツアー屈指の飛ばし屋は応援にかけつけた妻・志保さん(33)の涙顔に、こみ上げる感情を抑えた。

 15、16番の連続バーディーで後続を突き放して迎えた最終18番。3日目に第1打を右林に打ち込んだホールだ。「絶対に3アイアンを持つ」と決めて上がったティーグラウンドでその選択肢は消えた。握ったのは、武器のドライバー。思い切り振り抜きフェアウェーを捉え「満足のいく勝ち方ができた」と胸を張った。

 昨年のダンロップフェニックスでメジャー5勝のブルックス・ケプカ(米国)と回り「好奇心と向上心に火がついた」。ゴルフとの向き合い方が変わった。20日に全米オープン予選が控える。「今から練習したいくらい」。「未完の大器」と呼ばれた男が本気になった。(高木 恵)

 ◆幡地 隆寛(はたぢ・たかひろ)1993年6月30日、広島・三原市生まれ。30歳。10歳で兄、姉と一緒にゴルフを始め、岡山・作陽高時代に日本ジュニア3位。宮城・東北福祉大では2014年日本アマ16強、4年時の15年、関東学生選手権で優勝。16年からプロとしてツアーに参戦。昨季は関西オープンの2位を含むトップ5入りが4回で賞金ランク18位。今年3月の豪州とアジア共催のニュージーランドオープン優勝。188センチ、98キロ。

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