21年東京五輪に続き、パリ五輪のゴルフ日本女子代表コーチを務めるツアー通算18勝の服部道子氏(55)が27日までにスポーツ報知の単独取材に応じた。現状2枠を巡る代表争いは6月24日に決着。今週の全米女子オープン(30日~6月2日)、来月の全米女子プロ選手権(20~23日)のメジャー2大会を控え、大幅なポイント変動の可能性残す。服部コーチが代表レースの展望、日本勢のメダル獲得への期待を語った。(取材・構成=岩原 正幸)
女子の代表争いは残り1か月を切り、佳境を迎える。今週は全米女子オープン、代表決定直前には全米女子プロが組まれ、優勝すれば得られる世界ランクへの反映ポイントは日本ツアーの約5倍の100ポイント。19年全英を制した渋野日向子が46位から14位まで浮上した例もあり、最後までし烈な争いが繰り広げられる。
服部コーチ「女子は拮抗(きっこう)していて、最後の最後まで分かりません。山下さん、古江さん、笹生さんまでが僅差ですが、その後に続く選手も、メジャー大会が2試合ありますから、大逆転も含めて全く読めない。世界との距離が近くなり、メジャーでも日本選手が優勝争いできている。誰が本大会に行っても雰囲気に負けずパフォーマンスを出してくれると思います」
メダル争いのライバルに目を向けると、最近のツアー出場6戦で5勝の世界ランク1位で2大会連続金メダルを狙うネリー・コルダ(25)=米国=が筆頭になる。
「ネリーは頭一つ抜けています。ショットからパッティングまでそろい、7割くらいの力でも優勝できる。韓国勢(高真栄、キム・ヒョージュ)は国をかけてというところで士気が高い。東京大会(メダルなし)での、じくじたる思いもあるでしょう」
まずはベストプレー 東京大会は、稲見萌寧(24)が銀メダルを獲得。女子コーチの役割や、パリ大会で日本勢への期待を語った。
「前回はコロナ禍で、選手が無事にプレーできるよう、チームジャパンで拠点づくりをしっかりしてきました。食事や動線などに気をつけて環境を整えました。稲見さんの銀メダルは、想像していた以上の反響で、次世代につなげる意味でも、ゴルフ界に明るい風が吹きました。メダル獲得への気持ちは強いですが、選手に重圧を与える形にはしたくない。ベストパフォーマンスを発揮してもらえる環境を整えていきたいと思います」
◆女子ゴルフのパリ五輪への道
6月24日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を得る。〈1〉同ランク15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含めて最大2人が出られる。大会は8月7日から4日間、フランス「ル・ゴルフナショナル」で72ホールストロークプレーの個人戦で争う。21年東京五輪は畑岡奈紗と稲見萌寧が出場し、稲見が日本初のメダル獲得となる銀、畑岡が9位だった。
◆女子ゴルフの世界ランク
06年2月に導入。過去2年間(104週)に出場した選手が対象で、獲得した得点を出場試合数で割って算出。出場試合数35未満の選手は全て35で割り、平均ポイントを算出。5大メジャーのポイントは100で固定で、それ以外の大会は出場選手の世界ランク次第でポイント配分が変動する。