◆米男子プロゴルフシニアツアー メジャー第3戦 全米シニアオープン 最終日(1日、米ロードアイランド州ニューポートCC=7027ヤード、パー70)
悪天候のため順延となった最終ラウンド(R)の残りが行われ、暫定の単独首位で出た55歳の藤田寛之(葛城GC)は通算13アンダーで並んだリチャード・ブランド(英国)とのプレーオフ(PO)の末に敗れた。この日は残り8ホールをプレーし、再開後にスコアを3つ落とし、71。POの4ホール目でボギーとし、優勝を逃した。50歳以上で争われるシニアの海外メジャー大会では、2013年全米プロシニア選手権(米ミズーリ州ベルリーブCC)を制した井戸木鴻樹(当時51歳)以来、日本人2人目の制覇を目指したが、あと一歩届かなかった。
2度目出場の藤田は最終Rを3バーディー、4ボギー。10番まで終え3打リードしていたが、強風の中で行われたこの日の再開後11、12番で連続ボギー、14番もボギーと苦しいゴルフが続いた。まず10、18番の2ホール合計スコアで争ったPOでは両選手ともに連続パーで決着がつかず、勝負はサドンデス方式へ。18番で行われたPO3ホール目はともにボギー。4ホール目で、藤田は8メートル近くのパーパットがわずかにカップ右に外れボギー。対するブランドはグリーン左バンカーから第3打をピン直撃で10センチに寄せ、これをタップインしてパーをセーブし、勝負を制した。
リチャード・ブランドは今年の全米プロシニア選手権に続く優勝で、賞金72万ドル(約1億1592万円)を獲得した。宮本勝昌(シーミュージック)は既に6月30日にホールアウトしており、1オーバーの38位となった。
米シニアツアーには過去4戦出場の藤田。これまでの最高位は33位だった。今大会の平均飛距離は270ヤードで出場71選手中、中位程度(暫定値)。トップの選手からは約25ヤードおくれを取るが、正確性と小技を武器にメジャーのコースを攻略した。1~3Rまでにフェアウェーを外したのはわずか1回とショットの器用さが光り、優勝を争った。
5月に出場した国内ツアー会場では、シニアの海外メジャーへの思いについて「年間を通してそこ(米シニア)でプレーする憧れはありますけど、なんか現実的ではない。だけど、レギュラーの時に憧れていたメジャーの舞台でシニアはどうだろうっていうと、やはりメジャーっぽい。選手もコースも素晴らしく、ホスピタリティーもいい。(その中で)どこまでやれるんだろうっていう。レギュラーの時もメジャーでトップ20に、と思っていたので、シニアでもトップ20には(入りたい)」と語っていた。ベテランの挑戦はまだまだ終わらない。
◆藤田 寛之(ふじた・ひろゆき)1969年6月16日、福岡県生まれ。55歳。15歳でゴルフを始め、専大卒業後の92年、プロテストに一発合格。97年サントリーオープンでレギュラーツアー初優勝。2012年に4勝を挙げ、43歳で賞金王獲得。同年のメジャー、日本シリーズJTカップで大会初の3連覇。ツアー通算18勝。19年に生涯獲得賞金15億円を達成。20―21年に23季連続で守った賞金シードから陥落した。シニアツアーでは22、23年に計3勝。168センチ、70キロ。
◆米シニア「チャンピオンズツアー」 1980年に創設され、今季は28試合。50歳以上の選手が参加資格を得て日本人では青木功が通算9勝。2017、19年には日本でも大会開催。メジャーは「全米シニアオープン」、「全米プロシニア選手権」、「リージョンズ・トラディション」、「カウリングカンパニーズ選手権」、「全英シニアオープン」の5大会。13年5月の全米プロシニア選手権で井戸木鴻樹(当時51歳)がアジア人初のシニアメジャーV。優勝賞金37万8000ドル(当時のレートで約3840万円)を獲得した。