
2番、力強くティーショットを放つ堀奈津佳(カメラ・豊田 秀一)
◆女子プロゴルフツアー SkyRKBレディス第1日(16日、福岡・福岡雷山GC=6489ヤード、パー72)
プロ15年目の堀奈津佳(32)=サニクリーン=が8バーディー、ボギーなしで自己最少に並ぶ64をマークし、8アンダー単独首位の好発進を決めた。堀奈の初日首位発進は15年以来、10年ぶり。13年のアース・モンダミンカップ以来、11年322日ぶりの3勝目を狙う。22年に11年189日ぶり優勝を飾った金田久美子(35)=スタンレー電気=を抜き、88年のツアー制施行後の最長ブランク優勝を目指す。
最後のホールで1・3メートルのバーディーパットを沈め、堀奈は静かに右手を上げて喜んだ。15番で7メートルのパットをねじ込むなど計8バーディーを量産。自己ベストに並ぶ64に「カップが大きかったのかな」と笑顔がはじけた。金田を上回る11年322日ぶりの歴代最長ブランクVへ好発進。「ショット、パットと全体的に良かった」と自画自賛した。
久しぶりの首位発進だ。リーダーボードの一番上に自身の名を見つけて「もう1人の自分の名前があるような不思議な感覚」と戸惑った。山間の起伏、グリーンの硬さや傾斜も激しい難コースで本来の力を出し「こういうスコアが出てうれしい」とかみしめた。
プロ15年目。20歳で2勝目を挙げて以降は低迷した。2勝を挙げた13年は賞金約6516万円を獲得したが、16、17、19年は0円。ドライバーショットが左右に曲がるなど苦しみ「良くない期間が長かった。プロゴルファーと言える球ではないショットを打ってて、ゴルフをやめなきゃいけないと思う時期もあった」。試行錯誤の日々が続いた。
昨年から森守洋コーチ(48)に師事。スイング時に上から入りがちの軌道、リズムやバランスを修正した。改善の1つになった練習が、世界のホームラン王・王貞治氏(84、ソフトバンク球団会長)の「一本足打法」。軸足への重心移動の感覚を体に染みこませるため、右足1本で立ってクラブを振る練習を反復。「なんで変な素振りしてるの? と笑われるけど全部が今につながってる」。ショットの安定につながった。
今季は32歳の工藤遥加、37歳の穴井詩と申ジエと8戦中3戦で30代が制覇。特に同期の工藤が3月に初優勝した際、スマホ観戦した堀奈は「涙で画面が見えなかった。まだまだ行ける、私も頑張らないとな~と思った」。12年ぶりの復活Vへ、32歳ベテランの勢いが止まらない。(星野 浩司)
◆堀 奈津佳(ほり・なつか)1992年7月6日、徳島市生まれ。32歳。香川・藤井学園寒川高卒。10歳からゴルフを始める。2011年7月のプロテストに2位で合格。13年3月のアクサレディスでツアー初優勝、6月のアース・モンダミンカップで当時の4日間大会ツアー最多アンダー記録、21アンダーで2勝目を挙げた。生涯獲得賞金は1億551万9917円。昨季の年間ポイントランクは118位。妹・琴音(29)もツアー2勝のプロゴルファー。159センチ、53キロ。