蝉川泰果「妻の前で優勝できたのが一番うれしい」新婚初Vで史上最年少メジャー3冠


BMW日本ツアー選手権森ビル杯で優勝した蝉川

BMW日本ツアー選手権森ビル杯で優勝した蝉川

◆男子プロゴルフツアー 今季メジャー第2戦 BMW日本ツアー選手権森ビル杯 最終日(8日、茨城・宍戸ヒルズCC西C=7430ヤード、パー71)

 蝉川泰果(24)=アース製薬=が史上最年少のメジャー3冠を達成した。3位から出て1イーグル、4バーディー、1ボギーの66で回り、通算10アンダーで並んだ堀川未来夢(みくむ、32)=Wave Energy=とのプレーオフを1ホール目で制して大会初優勝。5年シードと賞金3000万円を獲得した。22年日本オープン、23年日本シリーズJTカップに続く3つ目のメジャー制覇を24歳148日で達成し、尾崎将司(78)の27歳248日を更新するツアー最年少記録を樹立した。

 「緊張感の極限だった」と震えが止まらない手で2メートルのウィニングパットを決め、蝉川は空を数秒見上げて喜びに浸った。プロ仲間のウォーターシャワーでびしょぬれになった後、昨年11月に結婚したタレントの久保葵(27)と涙のハグ。「まだ夢の中かなって思う。妻の前で優勝できたのが一番うれしい」と新婚初Vをかみしめた。

 1打差3位で出て、同組の堀川、米沢を追走した。2番パー5でチップインイーグル。残り3ホールで首位の堀川と2打差がついた。「最後は神頼みだった…」と16番で1メートル、18番で5メートルに乗せてバーディーを奪いガッツポーズ。「どのショットもガス欠するつもりで打った」と執念で持ち込んだPOを1ホール目で制した。

 どん底から復活した。1月から米下部ツアーに参戦したが、2月6日のコロンビアでの試合で途中棄権。スイング時に背中の激痛を訴え、帰国を余儀なくされた。その後は妻が5つの病院を探して精密検査を受けたが、原因は不明。「一生この痛みと付き合っていくのか。ゴルフ人生、これで終わっちゃうんじゃないか」と思い悩み、約1か月間は「絶望でした」と言う。

 3月に診察を受けた6軒目の兵庫医大でようやく原因が判明。背中側の左肋骨(ろっこつ)3本の疲労骨折と診断され「ホッとした」。約1か月間はクラブを握らず休養。筋肉の可動域が減ったが、電気治療で体を整え、妻に「けがする前よりうまくなってる」と話すほど好転した。ジムでの筋トレは週2回に減らし「力まず柔らかく打てるようになった」。焼き肉やすしを好んだ食生活もバランスのいい定食に変え「疲れ方は変わった」と実感。新スタイルで優勝をつかんだ。

 尾崎を超える史上最年少のメジャー3冠に「たまたま年齢が僕の方が先に3冠をした」と恐縮したが「めちゃくちゃうれしい。けがから復帰して4戦目で優勝できて幸せ」と笑った。今後は国内2戦に出場せず、数週間は休養と治療に専念。7月上旬に欧州ツアー、同下旬に国内ツアーに復帰予定だ。次の野望は「来年は日本プロ(選手権)を取りたい」。現行のメジャー4大会では、片山晋呉に続く史上2人目の「4冠」達成を見据えた。(星野 浩司)

 ◆蝉川 泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫・加東市生まれ。24歳。1歳からゴルフを始め、大阪・興国高2年時に関西ジュニア、3年時に国体優勝。22年度アマチュア日本代表。東北福祉大4年時の22年9月のパナソニックオープンで初優勝し、同10月の日本オープンで史上初のアマ2勝目。同11月にプロデビュー。23年に関西オープンでプロ初優勝を挙げて賞金ランク2位。175センチ、77キロ。

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