
ツアー初優勝を果たした金沢(左)は師匠の申ジエの祝福に涙する
◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第2戦 ソニー日本女子プロ選手権 最終日(14日、茨城・大洗GC=6840ヤード、パー72)
プロ9年目の金沢志奈(30)=クレスコ=が、ツアー初優勝を地元・茨城開催のメジャーで飾った。1打差3位で出て2バーディー、1ボギーの71で回り、通算10アンダーで並んだ桑木志帆(22)=大和ハウス工業=とのプレーオフを1ホール目で制し、優勝賞金3600万円と3年シードを獲得した。初Vをメジャーで達成するのは史上14人目。笠間市の実家が生花店を経営し、幼少期に「お花屋さん」を夢見た金沢が、通算232戦目とツアー8番目の遅咲きながら涙の初Vをつかんだ。
涙があふれた。1メートル強のウィニングパットを決めた金沢は両手を突き上げ、師と仰ぐ元世界ランク1位の申ジエ(韓国)とハグ。今季は2位が2回、3位が2回と苦しんだが、14人目のメジャーでのツアー初優勝を故郷の茨城で決め「悔しさを晴らせた。地元でメジャー。重なって本当にうれしい」と目を潤ませた。
笠間市の実家から車で30分の大洗GCは、パー72で今季最長6840ヤード。同平均飛距離は全体89位の228・64ヤードの金沢はアプローチなど小技が光った。PO1ホール目は第1打を右に曲げ「うわっ」と焦ったが、グリーン左手前13ヤードのカラーから第3打を50センチに寄せてパーセーブで勝負あり。地元の大声援を全身で浴びた。
母・雅枝さんは笠間市で生花店を経営。幼少期に抱いた「お花屋さん」の夢は、14歳で日本ツアー1勝の金愛淑氏に師事してから「プロゴルファー」に変わった。金氏が指導する申の海外合宿に10数年前から参加。バンカーショットなど巧みな技術を「たくさん盗み見た」。レジェンド直伝の食事や筋トレで体重も体力も格段に増した。
同市出身の畑岡奈紗、17年プロテスト同期の勝みなみらが若くして活躍する中、30歳で遅咲きV。「複数回勝利を今季中にしたい」と満面の笑みで語った。(星野 浩司)
◆金沢 志奈(かなざわ・しな)1995年7月29日、茨城・笠間市生まれ。30歳。8歳から父の勧めでゴルフを始める。中央学院大時代に同郷の後輩・畑岡奈紗と出場した2015年国体で団体優勝。同大3年時の16年に日本女子学生選手権を制すると中退。17年7月のプロテストに一発合格し、同年下部ツアーで1勝。趣味は登山、読書。好きな花はアジサイ。名前は母・雅枝さんが「柔らかい響きがいい」と命名。164センチ、53キロ。