
河本結
◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦 日本女子オープン 最終日(5日、兵庫・チェリーヒルズGC=6616ヤード、パー72)
ツアー3勝の27歳・河本結(リコー)が34位で出て7バーディー、ボギーなしの65をマークし、通算12アンダーで9位に入った。
3つ伸ばして迎えた13番のティーグラウンド。前の2~3組のプレーを待つ時間があり、河本はふとリーダーボードに目を向けた。「神谷そらちゃんが(5つ伸ばして)10アンダーにいってたのを見て気合が入った」。メルセデス・ランク2位を走るライバルの猛チャージに刺激を受け、14番は4メートル、15番は6メートルをねじ込み、16番は2メートルに寄せて3連続で伸ばした。18番もバーディーで締め、大勢のギャラリーの歓声を全身で浴びた。
「今日は“無”になろうと思った。気持ちを前面に出して1週間やろうと思ったけど、3日間、気持ちとバランスが取れなかった。とにかく楽しむこと、今を見て“無”になろうとプレーしてこうなった。やっぱりゴルフはメンタルだなと思った」
なぜ「無」になったのか―。河本は気持ちを整理するように数秒、考えを巡らせた後に答えた。「いいショットを打ってもピンについてない。いいパットを打ってるのに何で入らないんだろう…と怒りに変わっていて、マイナス要素になってた」。自身の手応えとは裏腹に、スコアが出ないことを引きずっていた。今大会は初日から3日間は69、70、72と尻すぼみ。その理由を自問自答した。
メンタルの変化につながったのは、18年のプロ転向から書きためて14冊目になるゴルフノート。自らが記してきた過去の考え方や経験を見返しながら、今の心境を書いた。
「これを入れたらバーディー、ボギーとか、順位がどうとかじゃなく、何も考えずに目の前の一打に向かう。バーディーを取りたいという未来にとらわれるのではなく、今に向き合う。穏やかに、いいことも悪いことも左右されないように無になろうとした。そして、どんな時でも笑顔でいようと�\x9Dった」。本来、自身が持つゴルフへの向き合い方を思い出し、「無」になれたことが好スコアにつながった。
チェリーヒルズGCは、19歳だった18年に最終プロテストで一発合格した思い出の地。「この7年間で自分のゴルフが大人になったなと思う」と話す。特に痛感したのは18番パー5。池越えの2オンを狙う選手もいた中、「割り切って(フェアウェーに)刻んでバーディーを取れたのは成長を感じた」とかみしめた。
同じ1998年度生まれ「黄金世代」の勝みなみ(明治安田)がこの日、米女子ツアーのロッテ選手権で優勝争いを繰り広げ、3位に入った。河本も今季の自身メジャー最高の9位に入り、同ランクは4位に浮上。「黄金世代はまだまだいける。頑張っていきたい」と穏やかな笑顔で声を弾ませた。(星野 浩司)