松山英樹（２４）＝ＬＥＸＵＳ＝が３０日、ＨＳＢＣチャンピオンズで、米ツアー通算３勝目をあげた。今年２月、米ツアー通算２勝目となったフェニックスオープンの優勝原稿を「復刻版」として掲載する。
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◆米男子プロゴルフツアー フェニックスオープン最終日（７日、米アリゾナ州ＴＰＣスコッツデール）
３打差の２位から出た松山英樹（２３）＝ＬＥＸＵＳ＝が４バーディー、ボギーなしの６７で回り、通算１４アンダーでリッキー・ファウラー（２７）＝米国＝と並び、プレーオフ（ＰＯ）を４ホール目で制して逆転優勝した。勝負強さを増したパットで１４年６月以来、米ツアー２勝目で２シーズン後までのシードを獲得。複数回勝利は、０３年までに３勝の丸山茂樹に次いで日本男子２人目で、出場６５試合目での達成は日本人最速となった。日本人初の海外メジャー制覇、８月のリオ五輪金メダル獲得へ期待が高まった。
大観衆の前で“荒野の死闘”を演じた。首位に並んで迎えた最終１８番。松山は５メートルの下りのバーディーパットを先に沈めた。「ゴルフ人生で一番いいパット」と自画自賛し、右拳を突き出し叫んだ。そしてＰＯ４ホール目。相手の第１打が池に落ちて勝負あり。最後は５０センチのパーパットを決め「勝つっていうのはすごく大変なことだな、という感じはある。勝てたのはすごくうれしい」。世界トップに君臨する“ＢＩＧ４”の一角、ファウラーを撃破し、トロフィーを青空に掲げた。
１８番は成長を試される場面だった。１打差２位だった昨年。ＰＯ進出を懸けた５メートル半のパットを外した。それから１年。黄色の勝負服に身を包み「真っすぐ打ったら入ると思った」と真ん中から決め、「プレーオフでは（ショットの）不安もなかった」と勢いに乗った。
完全アウェーの逆境が闘志に火をつけた。ツアー新記録の６１万８０００人を動員した今大会。最終日も６万５０００人で埋まったが「９９％は僕の応援じゃない。それなら逆に勝ってやると強気になった」。競り合ったのは世界ランク４位のファウラー。メジャーＶこそないが米ツアー３勝の超人気プロ相手に、正確なショットとパットで重圧をかけ、ミスを誘った。
これでＰＯは日米通算４戦４勝。勝負強さはもちろん、パットの復調が２勝目の原動力だ。腰痛を抱えながら４日間のパーオン率は１位の７７・７８％。さらに同平均パット数は１・６５。今オフ、スタンス幅を狭めるなど改良し、昨季平均の１・７２４（ツアー３９位）から大幅に改善した。
世界ランクは自己最高の１２位に浮上。ファウラーからは帰り際「またやろうぜ」と声を掛けられた。「（ＢＩＧ４は）すごく刺激になる」としながらも「手ごわいと思われたい。あいつとはやりたくないと思われるぐらいに」とうれしそうに話した。昨季はマスターズも含め、９戦でトップ１０入りも勝負どころでパットが決まらず未勝利。日本人初のメジャー制覇＆８月のリオ五輪金メダルへ向け、自信となる価値ある１勝を手に入れた。（２０１６年２月９日掲載）