【復刻!松山の米ツアー初優勝】日本人4人目の快挙は史上最年少22歳で達成!


 松山英樹(24)=LEXUS=が30日、HSBCチャンピオンズで、米ツアー通算3勝目をあげた。米ツアー初優勝は2014年6月のメモリアル・トーナメント。日本人4人目の偉業は史上最年少となる22歳での快挙だった。当時の優勝原稿を「復刻版」として掲載する。

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◆米男子プロゴルフツアー メモリアル・トーナメント〈最終日〉(1日午前8時(日本時間午後9時)スタート、米オハイオ州ミュアフィールドビレッジGC、賞金総額620万ドル(約6億3000万円)、優勝111万6000ドル(約1億1350万円)、参加76人)

 松山が米ツアー制覇の偉業を成し遂げた。2打差3位で出た松山英樹(22)=LEXUS=が8バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの69をマークし、通算13アンダーで並んだケビン・ナ(米国)とのプレーオフを1ホール目で制し米ツアー初優勝を飾った。日本人では青木功、丸山茂樹、今田竜二に次ぐ6年ぶり4人目の快挙を22歳の最年少で達成。アマチュア時代から26戦目でのVで次戦となる12日からの全米オープン(ノースカロライナ州パインハーストNO2)でメジャー制覇への期待が高まる。

 激動の終盤を、松山はたくましい精神力で耐え抜いた。今田の31歳6か月を塗り替える22歳3か月の日本人最年少優勝。大会ホストのジャック・ニクラウス氏(74)に祝福されると笑みを見せた。「うれしいです。あのパットを入れることだけに集中していた。入った瞬間に思い浮かんだことはなかった」。極限の集中から解放された瞬間だった。

 2週連続の優勝争いは「練習場で悪くなかったので、ある程度は自信もっていけた」。2番でバンカーから直接放り込み連続バーディー発進。8番で6メートルを沈め首位を捉えた。ワトソン、スコットとの三つどもえの戦いをリードしたが16番パー3から試練が待っていた。第1打をグリーン左の池に落としダブルボギー。「首位と1打しか開いていないと、気持ちを切り替えられた」。17番もボギーで2位に後退した。

 この時点でナが64で回り、2時間も早く13アンダーでホールアウトしていた。勝負の最終18番。追いつくにはバーディーしかない。そこで事件が起きた。第1打が右に出た。ガッカリする動作と共にドライバーを地面に下ろしたところ、標識に当たった。シャフトが折れた。我が目を疑うように、ぼう然と歩き出した。

 追い詰められた局面で何度も常識を覆してきた怪物がミラクルを起こす。175ヤードの第2打。「フェアウエーにあったので、まだチャンスはあると思った。アイアンだけはずっと切れていたし、自分を信じて打った」。「小さい頃から一番練習した」という7アイアンで1メートル半を刺した。難易度トップの18番パー4で4日連続バーディーを奪った。

 バッグに入れていいクラブは14本。松山は13本でプレーオフを戦った。正規のラウンドが終了しているため、新しいドライバーの使用も可能だったが「予備もなかったし、このまま3ウッドでティーショットを打つ方が流れがいいと思った」。迷わず3ウッドを選んだ。落ち着いていた。ドライバーと3ウッドでは30ヤード近く飛距離が違う。刀を奪われた侍が世界を斬った。右のバンカーに入れはしたが、ナが左のクリークに打ち込んだミスに乗じて勝負をつけた。

 会場のミュアフィールドビレッジGCはニクラウス氏が設計し、昨年は平均スコア73・256とメジャーを除けば最難関。「簡単じゃないコースで勝ったことは自信にしたい」。準メジャーと呼ばれる大会で99年のタイガー・ウッズの23歳を更新する大会最年少V。世界ランクは24位から自己最高の13位に浮上。2015、16年の2年シードを得ただけでなく、来年のマスターズ切符を手にした。次戦はメジャーの全米オープン。「メジャーでこんなプレーをしたら優勝は遠ざかっていく。明日からまた練習して、今週勝った自信をそのままつなげたい」。喜びは一瞬。初の日本人メジャー制覇へ視線を向けた。(2014年6月3日掲載)

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