【日本S】小平、最年少3冠へ片山の「技・心・物」完コピ!1差2位


9番でティーショットを放つ小平。スコアを4つ伸ばし、通算8アンダーの2位につけた

9番でティーショットを放つ小平。スコアを4つ伸ばし、通算8アンダーの2位につけた

 ◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアーメジャー最終戦 日本シリーズJTカップ第2日(2日、東京・東京よみうりCC、7023ヤード=パー70)

 3位で出た小平智(27)=Admiral=が5バーディー、1ボギーの66で回り、通算8アンダーで首位に1打差の2位に浮上した。

 ツアー30勝の片山晋呉(43)=イーグルポイントGC=の“完コピ”で、課題としていたアプローチが劇的に向上。賞金王争いに沸く今季最終戦で、尾崎将司超えとなる27歳84日での最年少メジャー3冠を虎視たんたんと狙う。韓国の朴相賢(33)=フリー=が9アンダーで単独首位。

 ウェッジで低く出して転がした第3打は2段グリーンを駆け上がり、25ヤード先のカップへ「ガチャン」と飛び込んだ。小平は10番のチップインバーディーにニヤリと笑うと、後半はバーディーを量産した。「メジャーなので気持ちも上がる。記録がモチベーションになっているし、優勝したい気持ちは人一倍強い」。13年に日本ツアー選手権、15年には日本オープンを制覇。ジャンボ尾崎の27歳248日を塗り替える27歳84日での最年少メジャー3冠へ、1打の差を守った。

 日本を代表するショットメーカーだ。ただ、一つのボギーから崩れていくことも少なくなかった。「ショット8」「ショートゲーム2」だった練習量を、オフから「5対5」の割合に変えた。17番パー5。第2打はグリーン奥へ転がり落ちた。エッジ付近の狙い通りの一点に落とすと、傾斜を使い、寄せてバーディー。「ああいうアプローチが思ったように打てるようになっている。グリーンを外しても寄ってくれるので、大崩れしないようになった」。増えた小技のバリエーションが、スコアメイクを優しくした。

 アプローチの精度の劇的な向上の裏には00、02年に今大会を制した永久シード男、片山晋呉の存在があった。「上手な人のまねをすればうまくなる」。オフ中、片山のショートゲームの動画を教科書代わりに繰り返し再生した。逆目の薄いライ。バンカーショット。苦手としていた場面は特に、イメージを頭にたたき込んだ。「片山さんのように考えている人のウェッジにはいろいろ詰まっているから」。6月のISPSハンダグローバルカップからはウェッジを片山と同じものに替えた。ロフト角も52、60度とそろえる“完コピ”っぷりだ。

 技術だけじゃない。片山が初めて賞金王になった翌年に出演した「情熱大陸」の映像を何十回も見た。「何度見ても飽きない。学ぶことが多い」。小平は来年、当時の片山と同じ28歳を迎える。忘れられない言葉がある。「出た杭(くい)は打たれるけど、出過ぎた杭は打たれない」。ゴルフへの取り組み方、考え方。メジャー7勝を誇る片山イズムも参考にしている。

 恋人の古閑美保が見守るなかで、2日続けて好プレーを見せた。「この大会は限られた人しか出られないし、ここに来ることを目標にやっている。優作さんや遼とか名場面が生まれているコース。自分もああいう優勝がしたい」と目をぎらつかせた。東京よみうりCCの寒さを、熱いプレーで吹っ飛ばす。(高木 恵)