驚異のエージシューター田中菊雄の世界13 武藤一彦のコラム─エージシューター田中さんと賞金王、池田勇太のクラブセットの共通点を見つけた


 日本男子ツアーは池田勇太が初の賞金王に座り2016年シーズンを終えた。シーズン最後を飾る「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は4日、韓国の朴相賢(33歳)が池田勇太、小平智、石川遼らを最終18番のチップインバーディーで下す、大どんでん返しで初優勝。注目の賞金王争いは今季3勝を挙げた池田と谷原秀人の東北福祉大出身で争われると、池田が2位に食い込み獲得賞金2億790万円で初の賞金王となった。最終日、小平が前半をリード、日本シリーズに勝てば日本ツアー選手権、日本オープンに次ぐ公式戦3冠の偉業だったが、最終ホールで15メートルの下りパットが残ったのは不運だった。3パットのボギーで韓国のベテランに逆転を許してしまったが、これがゴルフだ。

 

 さて、われらがエージシューター、田中さんである。シリーズの2日目、観戦に訪れお会いした。今回、筆者はスポーツ報知の取材記者として連日、コースに詰めたが、田中さんは開催コース、東京よみうりCCのメンバー。毎年欠かさず大会には足を運ぶというところで一致する。どちらもゴルフと深い付き合い、要するにゴルフが取り持つ縁である。話は弾んだが、ゆっくりお話しする時間はなかった。そのあたりの話題はおいおい紹介することになるが、今回、面白い偶然が重なったのでここで紹介する。実は、池田と田中さんのクラブセッティングに興味深い一致があるので取り上げさせてもらう。アイアンが同メーカーである。

 

 メーカー名を出すのは、プロの契約などが絡むのではばかられるが、明記しないとわからない。差しさわりがないところまでを明かすと池田は、軟鉄ヘッド、スチールシャフトのプロ仕様、と言いたいところだが、これが池田のこだわり。市販している上級者向けのものをそのまま使っている。今年、ウエアを替え、ヘアスタイルを変えた池田は変革の時代に入った。クラブもいろいろ試したいと模索中。そのこだわりが市販クラブを使用、池田式生き方を生み出しているのは面白い。

 

 そして田中さんのアイアン。81歳は、同社のシニア向けのロイヤルーDTPを半年くらい前から使う。ロフト25度の6番から39度のPWまでの5本。シャフトはカーボン。「ようやく慣れてきた。ラインが出るし高さもコントロールでき、自信も出てきた。うれしい味方です」とエージシューターは手ごたえを感じている。

 

 何を言いたいか。皆さんに伝えたいのは14本のクラブだが、その中にゴルファーは何を求めるのかを問いかけたいのである。これは自分自身へのテーマでもある。というのも、最近、バッグを覗き込み考えることが多い。クラブがバラバラである。メーカー名が5社、6社が入り乱れている。田中さんのバッグの理路整然さと程遠い乱雑さである。

 

 田中さんのバッグの中身は、ウッド系はドライバーから9番ウッドまでの5本。アイアンは紹介した5本。ウエッジはロフト44度、48度、58度のサンドまでの3本にパター。理路整然と言うのはここだ。パターを除く13本はウッド、アイアン、ウエッジと3つのセットとしてきちっとある。

 

 池田がアイアンだけをアマの上級者用に切り替えても立派に賞金王になる、そんな遊びが可能なのが、今のゴルフバッグの中身事情であるなら、見習わなければならない、というのが今回のテーマである。

 

 飛躍と面白がりで以上のことを感じたままに書いた。皆さんとも一緒入力考えたいと思う。ご意見のある方はどうぞ。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。81歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。