【日本S】遼、賞金王・勇太に賛辞「ずば抜けて強い」次回こそ悲願米初V狙う


閉会式後、ファンへ記念撮影のサービス

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 ◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアーメジャー最終戦 日本シリーズJTカップ最終日(4日、東京・東京よみうりCC、7023ヤード=パー70)

 5位で出た石川遼(25)=カシオ=は連覇には届かなかったが、6番のイーグルで一時は首位と2打差の2位に迫った。1イーグル、3バーディー、3ボギーの68で回り、通算8アンダーで5打差の6位。来年1月に控える米ツアーを見据えてテストしたクラブに手応えを得た25歳は、悲願の初優勝を見据えた。首位で出た小平智(27)=Admiral=は18番で痛恨のボギーを叩いて2位に終わり、最年少でのメジャー3冠を逃した。

 連覇が消えた石川は、最終組の行方を食い入るように見つめた。自身が賞金王に輝いた09年に争った相手が池田だった。「ずば抜けて強い。もう、すごい以外にないでしょ」。初の栄冠に輝いた男に賛辞を贈った。

 敗れはしたが、奇跡の予感を漂わせた。6番の第3打。10メートル先のカップにイーグルパットをねじ込むと、歓声が響いた。これで2打差の2位。クラブを持った左手を掲げ、気持ち良さそうに拍手を浴びたが、その後は波に乗れずに5打差の6位。「ただ単に実力不足だった」。復調しないアイアンショットが最後まで尾を引いた。

 米ツアーは来年1月19日からのキャリアビルダー・チャレンジから出場予定。今週は狭いフェアウェーを捉えるためのドライバーや、崖下の深いラフからピンを狙える64度ウェッジを入れるなど、夢の初優勝へ米国の難コースを見据えた。「自分のゴルフを忘れていなかった。少しずつ前に進めている」。2月から腰痛で半年間の離脱があったが、今大会は300ヤード超のドライバーショットを連発。確かな収穫を胸に課題を埋める。

 海の向こうで成功を夢見るのは理由がある。「応援してくれる人が喜ぶのは一番は成績。優勝を期待してくれて、それができれば応えたことになる」。この日、少女から「遼くん、頑張って!」と声をかけられると、戦う男の表情が一瞬、和らいだ。「ありがとう」とつぶやいて軽く手を振り、鋭い視線をコースに戻した。

 来夏までに出場可能な米ツアーは残り17試合。来季のシード権獲得へ、ポイントや賞金の上積みが必要だ。「シードはもちろん、米国での優勝を目指して取り組んでいきたい」。夢をかなえるため、次の挑戦に向かう。(浜田 洋平)