今季日米5勝の松山、用具へのこだわりを披露


笑顔で質問に答える松山英樹

笑顔で質問に答える松山英樹

 男子プロゴルフで今年、日米合わせて自己最多5勝を挙げた松山英樹(24)=LEXUS=が12日、都内ホテルで用具契約を結ぶダンロップスポーツ(本社・神戸市)が、来年2月10日に世界同時に新発売するNEW「スリクソンZ―STARシリーズ」の記者発表会に出席した。

 14年夏からダンロップスポーツと「Z―STAR XV」を共同開発し、今年2月から実戦投入して5勝を挙げた新ボールの高性能ぶりを開発秘話を交えてPRした。「目指したのは、世界で一番飛ぶツアーボール」をコンセプトにダンロップ社のボール開発担当・神野一也氏は7度も渡米し、松山ら契約プロとの打ち合わせやテストを繰り返した。昨年は60種類もの試作品を作り、3度に渡ってテスト。「パットやショートゲームの音にこだわって時間がかかった。言葉ではうまく表現できませんが、澄んだ高い音です。僕はプロになってから音を大事にして、クラブやボールを選んでいます」と松山は独特のこだわりを明かした。

 神野氏と契約メーカー担当の藤本哲朗氏と3人のトークセッションでは、開発の裏側のエピソードも披露。2月のプライベートラウンドの11番パー3で「初めて打ったらホールインワンで。しかもキャリーで。このボールはいけるんじゃないかと思いましたね」と笑って振り返った。2月のフェニックス・オープンで実戦初投入すると「いきなり優勝して。すごくいいボールだなと思ってやっていました」と衝撃的な出会いを明かした。

 神野氏は「究極に飛んで、究極に止まるボールを追求していたので、史上最高のZ―STARができたと思います」と胸を張った。14年から松山の米ツアーに帯同し、新球開発のテストにも立ち会った藤本氏は「松山プロはゴルフ用具のことを考えるのが本当に大好きで。普段から色んなアイデアを下さいます。ジム・フューリク(米国)も、道具に関する感覚が鋭いと思っていましたが、それ以上ですね」と用具への松山の感性の鋭さを指摘した。

 「スリクソンZ―STARシリーズ」の新球は、2年連続で日本ツアーの賞金女王となったイ・ボミ(韓国)や今季男子ツアー賞金ランク2位の谷原秀人も使用し、今年は世界で18勝を挙げた。記者発表に同席した木滑和生社長(60)は「弊社の技術力と契約プロの感性を感じて頂きたい。松山プロのメジャー優勝を実現させることのできるボール」と力を込めた。

 10月の日本オープン以降、個人戦では日米で5戦4勝。松山は飛距離、アプローチ、パットの向上した要因に新球を挙げた。「今までのボールよりも飛んでる感覚はあるし、スピン性能がすごく良くなり、スピンがかけやすくなった」と話す。テレビカメラ9台、140人の報道陣の前で「このボールで今年5勝しましたし、飛んで、スピンもかかっていい音も出る。プロだけじゃなく、アマチュアの方も使えるボールだと思うので、ぜひ使ってみて下さい」と新ボールを猛アピールした。

 それでも、本気で世界一を見据える世界ランク6位に満足はない。「終盤戦はすごく良い形で締めくくれましたが、5~9月の中盤は思うようなプレーができなかった。もうちょっとできたんじゃないかと思う。成績と調子は比例しない。(専属)キャディーの進藤大典さんだけは、決して絶好調でないことはわかってくれると思います。今月、マスターズがあっても多分、勝てないと思う」と自身の課題も冷静に見つめている。

 年内は休養し、1月の米ツアー、トーナメント・オブ・チャンピオンズから始動する。「来年は4大メジャーで勝ちたい。4か月半でいい準備をしたい」。日本の怪物から、世界の怪物へと進化を遂げつつある24歳。まずは4月の海外メジャー初戦、マスターズ(6~9日・米ジョージア州オーガスタナショナルGC)に向けて、調子と感覚を上げていく。

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