◆米男子プロゴルフツアー ファーマーズ・イン・シュアランス・オープン最終日(29日、米カリフォルニア州トーリーパインズGCの2コース)
42位から出た石川遼(25)=カシオ=は通算6アンダーで20位となった。1イーグル、5バーディー、3ボギーの68と伸ばした。国内で14勝を挙げた精度の高い攻撃的なショットを、米本土でも連発して「今までにない次元のゴルフ」と初優勝に向けた手応えをつかんだ。13位で出て、65で回った22歳のジョン・ラーム(スペイン)が、13アンダーで大会最年少でツアー初優勝を飾った。
米ツアー本格参戦5年目で初めて味わう達成感が、心地よかった。難コースで68をマークした石川は好ショットが続き「自分でも信じられない。米ツアーで4日間続いたのは初めて」とスコアや順位以上の喜びを口にした。今大会4日間で1イーグル、19バーディーを量産。パーブレイク率27・78%は大会3勝のフィル・ミケルソン(米国)らと並んで堂々の1位だった。
前半最後の18番がハイライトだ。グリーンは手前の池へと傾斜し「ピンまでは102ヤード。ウェッジで打ってちょっと大きいかなと思った」という第3打は、バックスピンでピンに当たってカップイン。会心のイーグルに佐藤賢和キャディー(36)とジャンプしてハイタッチし、両手を上げて大歓声に応えた。後半もアイアンショットがさえて2番で60センチ、3番で1メートル、6番も1メートルにつけて伸ばした。
このオフから取り組んできた、ドライバーとアイアンの「インパクトの再現性」が実を結びつつある。今大会4日間のパーオン率は72・22%で全体18位。「これまで自分に一番足りないと思っていたのはドライバーとアイアンの精度。まだ半信半疑だけど、今までにない次元のゴルフができている」とうなずいた。
日本では、ショットで積極的にピンを攻めるゴルフでファンを魅了し続けてきた。ところが、米ツアーではショットの安定性を欠き未勝利。昨年2月のフェニックス・オープンで、腰を痛めて長期離脱も公傷制度が認められ、今季は20試合に出場してその後の出場資格獲得を目指している。「ようやく戦えると思えた。これが続くように頑張りたい」と意欲をみなぎらせた。米ツアーでは2週連続で初優勝者が誕生中。その流れにも乗って次週のフェニックス・オープンで、一回りたくましくなった石川が大願成就に挑む。
◆パーブレイク率 バーディーか、それよりも良いスコアを獲得する率。今大会4日間(72ホール)ではミケルソン、パトリック・ロジャーズ(米国)、ジョナス・ブリクスト(スウェーデン)の3人が20バーディー。ブライアン・ハーマン(米国)が1イーグル、19バーディーで石川と並んでパーブレイク率27・78%で1位となった。