16歳・皆吉、持病抱える父のため史上6人目アマVへ…好発進4差7位


 ◆女子プロゴルフツアーTポイントレディス第1日(17日、鹿児島・高牧CC)

 ツアー2戦目の地元・鹿児島市出身のアマチュア、皆吉愛寿香(あすか、16)=神村学園高1年=が4バーディー、1ボギーの3アンダー、69をマークした。アルバイト先のホームコースで、心臓に持病を抱える最愛の父・健太郎さん(43)の前で、4打差7位と好発進。1988年のツアー制施行後、6人目のアマチュア優勝を目指す。プロ野球ソフトバンクの工藤公康監督(53)の長女・遥加(24)=セガサミーHD=は4アンダー、68の3位。ツアー通算2勝の菊地絵理香(28)=オンワードHD=が7アンダーで単独首位に立った。

 春の日差しの下、16歳が“親孝行チャージ”を演じた。皆吉は得意のアイアンショットでピンを刺し続けた。10番から出て14番は3メートル、15番は1メートル、16番も3メートル半につけて3連続バーディーを奪った。鹿児島出身の2人のプロと同組で「地元の方と一緒で、いつも通りできたことがスコアにつながりました」とあどけなさの残る笑顔で感謝した。

 車で40分と近く、高校入学後「ほぼ毎日回っている」ホームコースだ。高校では全国でも強豪の野球部や女子サッカー部員と同じ「普通科の特別能力コース」に在籍。ゴルフ部はなく、週1度登校し、リポートを提出する以外はゴルフに打ち込む。

 高牧CCで午前8時から午後3時までアルバイトし、同じく練習拠点としている勝みなみ(18)と練習や合宿をともにし、パットや練習方法を教わっている。14年4月、勝がツアー史上最年少優勝した姿をテレビ観戦。「私もプロの試合で優勝したい気持ちはあります」と、史上6人目のアマVも視界に入れる。

 思い出の大会だ。9歳の時に姉と父に連れられ初のゴルフ観戦。優勝した北田瑠衣の組について歩き「出てみたい」とプロゴルファーを志した。昨年、主催者推薦で初出場したが「ものすごく緊張してしまって」9オーバーの93位で予選落ち。車で自宅とコースの送迎をしてくれる父が昨春、練習中に心筋梗塞で倒れ、緊急入院。ゴルフのできない体となった父はこの日、愛娘の組に杖をつきながら18ホール同行して歩いた。「今年は3ホール目くらいで落ち着いていた。この大会に出場している姿を見られるだけで幸せです」と父。「父には感謝しかない。結果を残す姿を見てもらいたい」と皆吉。ツアー史上初となる海外勢の開幕3連勝を、熱い思いを秘めた地元のシンデレラガールが阻む。(榎本 友一)

 ◆皆吉 愛寿香(みなよし・あすか)2000年5月7日、鹿児島市生まれ。16歳。父の勧めで10歳からゴルフを始め12、13年鹿児島ジュニアゴルフ選手権優勝。平均飛距離240ヤードでベストスコアは66(高牧CC)。目標はイ・ボミ。159センチ。O型。家族は両親と姉と妹。

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