松山、10差28位で最終日へ…過去のマスターズ最大逆転劇は8打差


 ◆米男子プロゴルフツアー メジャー初戦 マスターズ第3日(8日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC、7435ヤード=パー72)

 【オーガスタ(米ジョージア州)8日=榎本 友一】日本人で唯一決勝ラウンド(R)に進出し、16位で出た松山英樹(25)=LEXUS=はパットが乱調で1イーグル、1バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの74とスコアを落とし、通算4オーバーの28位へ後退した。15番で大会通算4個目のイーグルを奪って追い上げるも、最終18番でまさかの2オン4パットのダボ。首位と10打差に開き、日本男子悲願のメジャー初制覇は絶望的となった。

 西日を浴びながら、松山は黙々とショット、パットを繰り返した。首位と10打差に後退した第3R終了直後。「最低でもアンダーパーに持っていきたかった。できなかったので優勝のチャンスはないですけど、しっかりといいプレーをして終わりたい」。約1時間、熱のこもった練習を続けた。

 6打差を追ってスタート。攻めるしかない立場だったが、序盤から穏やかな青空を何度も何度もうらめしそうに見上げる場面が目立った。前半の6、7番とピンそばを狙ったショットやアプローチがことごとく傾斜でグリーンをこぼれ落ち、ボギー。「状態がなかなか上がってこないのが、そのまま出てしまった」とうなだれた。

 後半はグリーン上で苦しみ、計31パット。悪い流れを象徴したのが最終18番だった。左下10メートルに2オン。3打目はカップ右縁に蹴られ1・2メートルへ。パーパットも右をすり抜け1・2メートルオーバー。返しのパットを30センチ外し、まさかの4パットでダブルボギー。報道陣からライン読みかストロークのミスかを問われると「どっちもなんじゃないですか」といら立ちを隠さず。「(優勝への希望を)かき消された」と吐き捨てた。

 それでも530ヤードの15番パー5だ。残り205ヤードの右フェアウェーから6アイアンを鋭く振り抜くとピン左3メートルへ2オン。自身大会4個目、15番では初となるイーグルを決めるとパトロン(観客)から大喝采を浴びた。失意の第3Rで世界ランク4位の実力を見せつけた瞬間だった。

 マスターズの最終R最大逆転は、1956年のジャック・バーク(米国)の8打差。松山自身の最終R最大逆転劇は、今年2月のフェニックスオープンの4打差だ。だが来年の出場権を獲得できる12位以内とは4打差。「最後の4パットでやる気がうせているので、切り替えて頑張りたい」と松山。終戦宣言の一方で、最終Rへ闘志を奮い立たせた。

 ◆マスターズ最終日最大の逆転劇 1956年大会でジャック・バークス(33)=米国=が8打差を逆転。最終日を71で回り、単独首位から出て80と崩れたアマチュアのケン・ベンチュリ(24)=米国=を1打上回った。大会史上最も悪いスコアとなる通算1オーバーで初優勝。過去80回の歴史で、アマチュアの優勝者は出ていない。

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