宮里藍の父・優氏「求められているのは予選を通過してギリギリで生活していくことじゃない」


父・優氏

父・優氏

 女子プロゴルフの日米ツアー通算24勝の宮里藍(31)=サントリー=が29日、東京・新宿区の京王プラザホテルで会見し、今季限りでの現役引退を表明した。モチベーション維持の難しさを引退理由に挙げる一方、次戦のサントリーレディス(6月8~11日・六甲国際GC)を含め、日米の試合で「最後に勝って終わりたい」と有終Vを宣言した。1977年の全米女子プロの樋口久子以来、日本女子2人目の海外メジャー制覇も諦めない。

 藍の父・優氏もまな娘の会見後、会場で取材に応じた。気になる今後については「日本でも世界でも技術の指導者はたくさんいる。ところが、メンタル面での分析は遅れている。藍はスランプを通じてたくさんのコーチを受けながら勉強してきた。そこでメンタルトレーナーとして、選手を助けていくこともできるかな」と“第二の人生”に期待した。

 今季限りでの引退については昨秋に聞かされたという。「よく頑張ったと思います」。ここ数年、苦悩する姿も見てきた。「技術的にはまだ伸びると思うが、つらそうだった。藍に求められているのは、予選を通過してギリギリで生活していくことじゃない。スポーツを通じて多くの人に感動を与える。そして自分もモチベーションを高く持ってプレーしていくこと。それが藍に与えられた宿命。それが崩れたということは、やはり引退の時期」と国民的ヒロインの娘をねぎらった。

 15年間、コーチとして共闘してきた。「よくけんかもしたけど、苦しい時もいい時も一緒に歩んできた。いいゴルフ人生だった。世界ランク1位になるとは想像もしていなかった。パットがずば抜けてうまかった。グリーン上にいけば勝負になるのが藍のスタイルだった」と評した。

 父親としての本音も漏らした。「これまでは、ほとんどゴルフ場しか行ったことがなかった。米国のあちこちを案内してもらって、やっと親孝行してもらえるかな」。優しいまなざしで笑った。(榎本 友一)

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