ニューグリーンで新たに始まる新時代シリーズに向けて(2/2)
武藤一彦
さて、グリーンだが、グリーンとティーグラウンドは同じだった、さらにフェアウエーも昔はグリーンと呼んだという話だ。
「ええー、ティーとグリーンが同じとは思えない。ティーグラウンドはドライバー打ちグリーンはパットをする。第1打を打つところとスコアをまとめるところ、あんなに離れていて何が同じなんだ」と思われるが、それが同じなのである。
300年前のゴルフは、ボールを打ち、穴に入れたら、その1メートル以内のところから次のティーショットを打つのが決まりだった。そう、カップから1メートル以内にティアップである。
1774年、世界最初のゴルフルールをスコットランドはエジンバラ郊外のリースのクラブが創案した。13カ条ありその第1条に「ボールは終了したホールからワンクラブ以内にティアップしなければならない」となっている。次いで第2条に「ティーは地面に直接おかなければならない」とある。ちょっとわかりにくいが、ホールアウトしたら、そのホールの1メートル以内から次のホールのスタートをしなさい、というのだ。ティーというのは砂である。砂を盛り上げてその上にボールを乗せて打った。木製やプラスチックのティーペッグはない時代、ゴルファーたちはホールアウトしたカップの中から砂をつまみ出すとその砂を盛りあげ球をのせて打った。その範囲がカップから1メートル以上離れてはいけません。平らなところへ、というのはショットに有利な高いところを探してみんながうろうろした、と想像できる。だから1メートル以内、、このことはゴルフには、はじめティーグラウンドはなくあったのはグリーンと呼ばれる平らなところ。つまりグリーンとティーグラウンドは同義、同じ意味だった。
次に、だが、ゴルフコースはフェアウエーもラフもある。断っておくが、ルール上、ラフとフェアウエーという用語はない。用語の規定では「芝草を短く刈ってある区域」と”そうでない区域“を分けているだけだ。
「スルー・ザ・グリーンは6インチにしましょう」などある区域に限定して救済を適用するルールがある。
スルー・ザ・グリーン。「グリーンを通して」「グリーンを通じるに応じては」とはどういう意味か。ここで出てくるのはグリーンという言葉だ。ゴルフかつてはグリーンとティーもグリーンと呼んだといったが、実は、フェアウエーもラフもグリーンなのである。だから「スルー・ザ・グリーン(グリーンを通じて)うんぬん、、という言い方が伝承され受け継がれて生きてくる。
ホールをスタートする。2打地点に行くとボールが勢いで突き刺さって穴(ピッチマーク)に食い込んでいる。そこがフェアウエーなら球のあった個所にできるだけ近くに無罰でドロップできるが、ラフであれば救済を受けられない。1打加えてアンプレアブル、というのが現行のルールである。
以上のことでフェアウエーもラフもグリーンであり、そのことがゴルフを500年も前から綿々と自己審判のスポーツとして継続してきたのである。
シリーズの舞台のグリーン改造がとんでもない所へボールを飛ばしてしまった。読者は戸惑ったかと恐縮する。半世紀から次の半世紀へ。シリーズが一歩を踏み出した感慨は、単なるグリーンの改造にとどまらぬ息吹を感じさせたことだけは確かだ。
改造なった新グリーンでは読みとタッチとやる気と幸運が交差して新しい時代の始まりだ。パッティングリーンだけの変化ではなくゴルフ全体の変化につながる新しい時代へ。すべてのゴルファーにシリーズを楽しんでもらいたい。