穴井、下積み過ごした“第二の故郷”滋賀で通算2勝目


今季初勝利に笑顔でギャラリーの声援に応える穴井詩

 ◆女子プロゴルフツアー センチュリー21レディス最終日(23日、滋賀・瀬田GC西C=6567ヤード、パー72)

 単独首位で出た穴井詩(29)=ゴルフ5=が5バーディー、3ボギーの70で回り、通算11アンダーで逃げ切った。20歳の時に研修生として腕を磨いた第二の故郷・滋賀で、昨年9月以来の通算2勝目。応援に駆けつけた父・幸二さん(62)に初めて優勝した姿を届けた。男子ツアー通算6勝の川岸良兼(50)の次女・史果(22)=加賀電子=は2打差3位となり、またも初優勝に届かなかった。

 両手に汗がにじんでいた。最終18番、残りは30センチ。穴井は外せばプレーオフのパーパットを沈めて2勝目をつかんだ。「すごく緊張した。初優勝の時よりも」。1メートル半を沈め「びびり倒したパット」と振り返った初優勝時より大きな重圧。調子が悪い分、わずかな距離でも不安があった。

 第二の故郷での恩返しだ。13歳から父・幸二さんの仕事の影響で米国に移住。父から渡された200万円の資金を手にフロリダのミニツアーに参戦したが、あっという間に資金が底を突き、日本で研修生から出直そうと07年6月に帰国した。すぐに入寮できたのが滋賀・富士スタジアムGC。「一番、頑張って練習した時期。一人で練習する楽しさを学んだ」。自身3度目の滋賀開催のツアーを制し、1年間、プロを夢見て下積みした時代を懐かしんだ。

 早朝5時から打ち込み、キャディーのアルバイトを終えて再び夕方から練習。試合が近づけば「練習に専念していいよ」と若手に優しい環境だった。当時、世話になった知人が応援に来た5月の試合は予選落ち。今大会は観戦に来られなかったが、代わりに愛知・名古屋市に住む幸二さんが駆けつけた。

 「昔は怖かった」と厳しく育てられた父も、最近は「負けようが、勝とうが生きてりゃいいよ」と優しく見守ってくれる。賞金ランクは43位から16位に浮上。「3勝、4勝としていきたい。“お”メジャーが欲しい」。自身初のメジャー制覇で、恩を何倍にも増やして返す。(浜田 洋平)

 ◆穴井 詩(あない・らら)1987年11月11日、愛知・岡崎市生まれ。29歳。11歳でゴルフを始める。今季の平均飛距離256・91ヤードは全体2位。井上陽水の曲をギターで弾く趣味を持つ父が「音楽好きになってほしい」と願い「詩(らら)」と命名。家族は両親、兄、姉。165センチ、58キロ。

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