松山英樹、悔し泣き…メジャー初制覇目前で失速


最終ラウンド、3番ホールでティーショットを打つ松山(ロイター)

最終ラウンド、3番ホールでティーショットを打つ松山(ロイター)

 ◆米男子プロゴルフツアー 今季メジャー最終戦 第99回全米プロ選手権最終日(13日、米クウェイルホローC、7600ヤード=パー71)

 【シャーロット(米ノースカロライナ州)14日=岩原正幸】松山英樹(25)=LEXUS=が今年1月に一般女性と結婚し、7月に第1子が誕生していたことを所属事務所を通じて発表した。13日に行われた最終ラウンドは1打差2位から出て、一時首位に立つも11番からの3連続ボギーが響き、5バーディー、6ボギー72で通算5アンダー5位。日本男子初のメジャー制覇はならず、珍しく涙を流して悔しがった。

 21度目の挑戦で最もメジャー初制覇の夢に近づいた。だからこそ悔し涙があふれた。1打を追った勝負の最終日。松山は11番まで首位に並び、優勝者とは自身メジャー最少3打差の5位。ホールアウト後、報道陣の前で何度も、何度もタオルで涙を拭った。タオルで顔を覆ってしゃがみ込む場面もあった。涙が止まらなかった。「何をしたら勝てるのか分からない。(メジャーを)勝てる人になりたい」と声を絞り出した。

 重圧のかかる最終日の後半9ホール。7メートルのバーディーパットを沈めた10番まで単独首位だった。しかし、11番で歯車が狂った。フェアウェー(FW)ど真ん中から放った残り147ヤード、ピッチングウェッジの第2打がグリーン右ラフに外れ「難しくない状況からミスをして、悪くなる原因を作った」。得意のアイアンショットのミスによる3連続ボギーで失速。潮目が変わった。

 14番から連続バーディーで同組の首位トーマス(米国)に1打差と迫ったが、上がり3ホールの難所「グリーンマイル(死刑台への道)」が立ちはだかった。16番で1・5メートルのパーパットが無情にカップに蹴られてパターを放り投げた。FWキープ率は57・14%、パーオン率は55・56%。勝負どころでショットの乱れを制御できず「先週(ブリヂストン招待V)と今週2日目(ベストスコア64)まで続いたパッティングでもなかった」と振り返った。

 第2ラウンドではメジャー初の首位に立った。最終組の1つ前で臨んだ最終日は独特の雰囲気にのまれた。「日本ツアーで、アマチュアでやっていた時のような緊張だった」。脳裏によぎったのは、11年に国内ツアーで初優勝するまで13戦を要した当時のこと。格上のプロとの戦いでもがきながら苦闘。10年日本オープンでは3位と迫りながら勝ちきれず。「気持ちの部分も成長しないといけない」と、今後の課題をかみしめた。

 最終日に追い上げて2位に食い込んだ6月の全米オープンとは違い、終盤まで本格的な優勝争いを演じた。「このぎりぎりのところでやれるのは楽しいし、そこで勝てればなおさら楽しいと思う。ここまで来た人はいる。ここから勝てる人と勝てない人の差が出てくる」。夫となり父となった25歳は経験を糧に来春、マスターズで再び夢に挑む。

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