宮里優作、男子ツアー初のノーボギーV 藍ちゃんも祝福「すごい!」


18番、ウィニングパットを沈めて天を指さす宮里優作(カメラ・谷口 健二)

18番、ウィニングパットを沈めて天を指さす宮里優作(カメラ・谷口 健二)

 ◆男子プロゴルフツアーツアー・ワールドカップ最終日(8日、愛知・京和CC=7190ヤード、パー71)

 初日から単独首位を走った宮里優作(37)=フリー=が3バーディー、ボギーなしの68をマーク。1度も首位を譲らず、通算22アンダーで今季3勝目となるツアー通算6勝目を挙げた。苦手だったグリーン上で開眼し、自身初の完全優勝で賞金ランクは首位へ再浮上。4日間72ホールボギーなし優勝は、記録の残る1985年以降ツアー初の快挙で「大好きだった」義父の命日に、大きな節目を刻んでみせた。

 家族思いの優作らしいラストシーンだった。最終18番。自身初の完全Vを決める50センチのパーパットを沈めると、秋晴れの空を見上げ左手でパター、右手の人さし指を天に突き上げた。「義父が亡くなってちょうど1年。良い風を吹かせてくれたお礼を込めて」。85年以降ツアー1056戦目で初の4日間ボギーなしV。偉業を後押ししてくれた義父に、感謝の思いを表した。

 2打差で出て1番で右50センチにつけてバーディー。6番でピン上1メートルにつけて伸ばし、前半で後続に6打差をつけたが、ノーボギーの重圧が襲った。「ティーショットも良くなくて、苦しかった」。9番は20メートルのバーディーパットが3メートルオーバー。だが今大会は「大事なパットになると、かがむ癖があって。少し体を起こして構えることと、右足に体重が乗る癖があったので、左足に乗せて軸を作る打ち方」を4日間徹底。苦手だったパットで、最大のピンチも冷静に沈めた。

 1年前、妻・紗千恵さん(40)の父で、長らく優作の応援団長を務めた小川正さん(享年69)が胃がんで死去。大会前に墓参りを済ませていた。この日、一周忌後に2人の子供とともに応援に駆けつけた妻は「父は主人の大ファンで今週、きっと見守ってくれていたんだと思います」とほほ笑んだ。

 宮里家の思いも背負った。9月限りで引退し、沖縄にいる妹・藍(32)とは3兄妹グループLINEで連日連絡を取り「ノーボギーはすごい!」などと激励された。沖縄で闘病中のコーチの父・優さん(71)には、スイング動画を送り「今週はいいよ」とチェックしてもらった。「宮里家の露出が少なくなっているので自分が頑張らないと」と笑い飛ばした。

 2位に約1400万円差の賞金ランク首位に3か月ぶりに再浮上。次週はメジャー、日本オープン(12日開幕・岐阜関CC東C)だ。「昨年大会覇者(松山英樹)が不在なのでチャンス。これからは毎週、優勝争いをうかがえる位置にいるべき」。家族の支えを糧に、制度化された84年以降初の選手会長賞金王に挑む。(榎本 友一)

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