丸ちゃん長男・奨王、英語力&小技武器に日本人初親子マスターズへ


マオリ族と記念撮影する丸山奨王(中央右)と大西魁斗(同左

 【ウェリントン(ニュージーランド)25日=榎本友一】男子ゴルフのアジア・パシフィック・アマチュア選手権は26日、ロイヤルウェリントンGC(6845ヤード、パー71)で開幕する。初出場の丸山奨王(しょうおう、17)=米キャンベルホールスクール=は25日、18ホールの練習ラウンドで最終調整。米ツアー3勝の父・茂樹(48)=セガサミーホールディングス=直伝のショートゲームを武器に優勝し、日本人初となる親子2代での海外メジャー、マスターズ(来年4月・オーガスタナショナルGC)出場を目指すことを誓った。

 夢切符獲得への初挑戦を前に、勝負師の遺伝子が騒いだ。気温10度の開会式で、丸山の目は半裸のニュージーランドの先住民マオリ族の民族舞踊「ハカ」にくぎ付けとなった。ラグビー同国代表「オールブラックス」が戦いを前に力強く手をたたき、足を踏み鳴らす独特の儀式。「寒い中で、すごいですね」と、その熱気と迫力に息をのみ、仲の良い大西とともに記念撮影をお願いした。

 日本代表の大西、中島、塚本の3人と同組で、午前8時から18ホールを回った。米国生まれ、米国育ちの丸山は、ニュージーランド人のハウスキャディーとも流暢(りゅうちょう)な英語でクラブや残り距離、風などを読みながらラウンド。ニュージーランド屈指の難コースを前に、「フェアウェーが狭く、風が強いのでティーショットが難しい。グリーンも硬いので考えて第2打を打たないと」と警戒を強めた。

 風速20メートル以上の暴風が吹き荒れた。4日間の大会中も10メートル前後の強風が連日吹く予報だ。さらに自身初の南半球での大会で、グリーン周りの不規則な芝も立ちはだかる。「得意のアプローチとパターでパーをセーブしていきたい。父から、いろんなことを教えてもらってきたので、そこには自信があります」と、日米13勝を挙げた父譲りの多彩な小技に活路を見いだす。

 日本人では2011年の松山以来となる優勝で、マスターズと全英オープン切符を獲得する。06年マスターズのパー3コンテストでは父のキャディーを務めた。「その時の写真は家にあります。ゴルファーは皆が目指す場所」と、夢舞台への思いは強い。9度のマスターズ出場を誇る父からは、「いつも通りにゴルフをしなさい」と助言された。「ベストを尽くして勝てたら」と丸山。日本人初の親子2代での夢切符取りに挑む。

 ◆親子でのマスターズ出場 14年大会に父・クレイグ(64)と息子ケビン(37)の米国の巨漢・スタドラー親子が、同時出場を果たした例などがある。息子のケビンは14年2月のフェニックスオープンで米ツアー初優勝を飾り、同年4月のマスターズに初出場。82年マスターズ王者の父との競演で話題を集めた。

 ◆アジア・パシフィック・アマチュア選手権 主催はアジアパシフィックゴルフ連盟。オーガスタナショナルGCとR&Aが共催して2009年から開始。第9回大会の今回は37の国と地域から男子116人が出場。優勝者に翌年のマスターズと全英オープン出場権、2位にも全英最終予選切符が与えられる。10、11年大会を松山英樹が連覇し、11、12年のマスターズに日本人アマとして初めて出場。11年には27位で日本人初のローアマも獲得した。来年はシンガポール・セントーサGCで開催予定。

 ◆丸山 奨王(まるやま・しょうおう)2000年6月2日、米カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。17歳。父の影響で4歳でクラブを握り、10歳で本格的に始める。昨年6月、ウェスタン・ジュニア選手権で優勝。今年9月に初開催された「ジュニアプレジデンツカップ」で世界選抜入り。平均飛距離は290ヤード。ベストスコア65。来年8月にはゴルフの名門UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)へ進学予定。171センチ、63キロ。家族は両親。

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