小鯛、苦節10年初V「素直にホッ」…史上初2週連続男女最終日中止


優勝した小鯛(左)は、トロフィーを手に家族と記念写真に納まった(右から長男・士和君、ゆい夫人、長女・仁望ちゃん)

 ◆男子プロゴルフツアー マイナビABC選手権最終日(29日、兵庫・ABCGC=7217ヤード、パー72)

 ツアー史上初の珍事が、男女ともうれしい初優勝をもたらした。台風による悪天候で、2週連続で男女とも最終日の競技が中止。女子は2日目終了時点で通算7アンダーで首位だった永井花奈(20)=デンソー=が、男子は3日目を終え通算13アンダーで首位だった小鯛竜也(27)=フリー=がともに初Vを飾った。男子は詳細なデータの残る1978年以降、女子は88年のツアー制度施行後初の2週連続最終日中止で、賞金ランクへの加算額は75%。

 プロ10年間の苦労に天が味方した。最終組の小鯛は、スタート9分前だった午前9時16分の競技中断からロッカーで待機。「気持ちが切れて、あえて一番奥にいた。整理が難しかった」。プレーするつもりでいても、モヤモヤの続く一日だった。

 第3日を終えて1打差の単独首位。「やたら天気予報を見た。検索履歴が『ABCゴルフ倶楽部』ばっかり」。前夜は午前0時30分まで眠れず、目覚めたのは4時間半後。すぐにカーテンを開けたが、予報に反した曇り空に「降ってないやん!」。いつも通りに準備しても心は晴れず。10時17分に中止が決まり「率直にほっとした」と喜んだ。

 07年のプロ転向から初出場まで4年。何度も腐りかけたが、14年から毎年12月に同じ所属事務所の石川遼(26)の沖縄合宿に参加して意識が変わった。朝から晩まで寝食をともにした2週間。1日1000球近く打ち込み、手のひらは血豆だらけになった。「打つだけで筋肉痛になる経験はなかった。世界を視野に入れた人。自分が甘かった」と奮起するきっかけになった。

 23歳で結婚し、24歳で長女が誕生。「子どもの顔を見る度に『自分は何をしてるんやろ』と毎日思った」。家族の前で初優勝を飾り、日本シリーズJTカップ(報知新聞社主催、11月30日開幕・東京よみうりCC)の初出場が決定。「まさかJTに出られるとは。しっかり4日間回って勝たないと」。72ホールでの決着が待ち遠しい。(浜田 洋平)

 ◆小鯛 竜也(こだい・たつや)1990年2月1日、大阪・阪南市生まれ。27歳。5歳からゴルフを始め、兵庫・クラーク記念国際高3年時の2007年関西アマ2位。同年に17歳でプロ転向もツアー初出場は11年。昨季下部ツアーの賞金ランク4位。178センチ、66キロ。家族は妻・ゆいさん、長女・仁望(にの)ちゃん(3)、長男・士和(とわ)君(11か月)。

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