◆女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス 最終日(28日、埼玉・武蔵丘GC=6580ヤード、パー72)
台風22号の影響による大雨で、最終日の競技が中止となった。第2ラウンド終了時点で、通算7アンダーで単独首位に立っていた永井花奈がツアー初優勝。昨年のプロテストにトップ合格した20歳は「予想外の中止だったけど、本当にうれしい」と喜びをかみしめた。
身長155センチ、55キロ。昨年の最終予選会で14位に入って、今季のほぼ全試合の出場権を獲得した。数年前までは、両親が品川区内でラーメン店「のりや食堂」を経営。同食堂の看板娘としても有名だった。愛らしい笑顔で、女子ツアーで人気選手の1人だ。
表彰式では「支えてくれた両親に感謝したい」と何度も涙をぬぐった。優勝カップにキスする姿を見て、本人より大粒の涙を流していた人物がいた。同い年のプロゴルファー、乗富結(のりとみ・ゆい)である。
永井と乗富は東京・品川区立伊藤学園中の同級生。家が近所ということもあって、小学校時代から親交があった。16年、2人はプロテストに挑んだ。永井は7月に堂々のトップ合格を果たしたが、乗富は5月の2次予選で敗退した。その原因の一つがパッティングだったという。
涙にくれる同級生を見て、永井は15年まで使用していたマレット型のエースパターをプレゼントした。プロがお気に入りのパターを渡すのは、めったにないこと。乗富はそのパターを使用し、今大会のマンデー予選会を突破。本戦でも決勝ラウンドに進み、38位に入った。
「マンデーを通って、予選も通過できたのは、花奈ちゃんのパターのおかげです。実は今季の途中まで、私はウェアの契約もなかった。そんな時に花奈ちゃんは、自分のウェアもプレゼントしてくれました。昔から、本当に優しいんです」と乗富は明かした。
愛らしいルックスで、優しい人柄でも知られる永井。14年にはアマチュアながら日本女子オープンで3位に入るなど、アマ時代から注目されてきた。プロとして大きな一歩を踏み出した20歳の、この先が楽しみだ。