【武藤一彦 王者の系譜】02年大会覇者の片山、1アンダーで満足とは


15番、バーディーパットを放つ片山。初日1アンダーで8位

 ◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 今季メジャー最終戦・日本シリーズJTカップ第1日(11月30日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 首位から4ストローク以内に18人がひしめく大混戦。誰が勝ってもおかしくない展開は、絶妙なセッティングの産物だ。「ピン位置は最短で(グリーン端から)4ヤード。どのホールも5~8ヤードに切った。きわどいところに切れば選手は攻めないが、5~8ヤードなら攻めてもいいか、と狙いにくる。選手は迷ったに違いない」と細川和彦コースセッティングアドバイザー。1999年大会王者は胸を張った。

 44歳の片山が2バーディー、1ボギーで首位から3打差の8位発進。「今日のゴルフは満足がいく」と合格点を与えたのは驚きだった。02年大会は19アンダーで2位に9打差をつけ圧勝した選手が、1アンダーで満足とは。ゴルフの妙味を見た思いである。

 20回連続出場は今大会の出場者中最多。青木功の持つ連続出場記録にあと1、尾崎将司の最多出場25回も視野に入った。「そうなんです。今回19歳の韓国人選手が出てきたけど、彼が生まれる1年前から続く記録なんですね。励みになる。(尾崎の持つ)25回も今後のモチベーションになる」

 170センチ、70キロと小柄。プロ人生は無理がたたって腰痛の苦しみからスタートしたが、180センチを超えるAON時代をどう生き抜くかをテーマにした。5年先、さらに次の5年と見据えて体づくりに励み通算31勝。永久シードの金字塔を打ち立てた。

 独特のクラブセッティングで、ショートウッドを徹底研究していることで知られる。2本のユーティリティー、6番からのアイアン全てが片山流。シャフトを吟味した独特のこだわりは誰にもマネできない。もとはといえば、体づくりの延長線にある。片山にとってクラブは体に優しく、スコアづくりに楽なものでなければならないのだ。

 ホールアウト後は薄暗くなった中で長尺パターのバランスを変え、雨の練習グリーンでストレートラインだけを20分間、コースと同じ真剣さで打ち続けた。「来年、さらにその先もありますから」。2020年東京五輪を目指している。もちろん今回の優勝も。(ゴルフジャーナリスト)

 片山(20年連続出場のベテランが3度目制覇へ好位置)「もう20回目なんでね。ここまで長くできるとは。悪くない。楽しみですよ」

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