【日本S】優作、涙の逆転V&初賞金王 次は海外メジャーだ


賞金王に輝いた宮里優作は涙ながらにギャラリーに向かって万歳する(カメラ・頓所 美代子)

 ◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 今季メジャー最終戦・日本シリーズJTカップ最終日(3日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 選手会長の宮里優作(37)=フリー=が13年大会に続く2度目の優勝を果たし、初の賞金王に輝いた。賞金ランク2位からの逆転には優勝だけという厳しい条件の中、首位から出て4日間を通じベストスコアとなる62をマーク。2位のS・ノリス(南アフリカ)に6打の大差をつけ、13年大会の優勝スコアを2打上回った。来季は4月の海外メジャー、マスターズへの出場を目標に掲げ“海外進出”に挑む。

 泣いた。泣けた。照りつける西日を浴びながら30センチのウィニングパットを沈めた優作は、右手で顔を覆った。あふれる涙を拭うと、7000人超の大観衆と一緒に万歳三唱。父・優さん(71)、母・豊子さん(65)ら家族と抱き合った。「こういうことがあるんですね。ずっと憧れでした」。選手会長として史上初となる賞金王の喜びをかみ締めた。

 今季優勝者と賞金ランク上位者など30人しか出場できない大会で、力の差を見せつけた。3、4、5番と3連続バーディー。6番パー5は残り約220ヤードの第2打を1メートルに寄せてイーグルを奪うなど、9番終了時点で2位に7打差をつけた。13番では2位・ノリスにロングパットを決められ4打差に詰め寄られたが、すぐ3メートルを決め返して5打差に。「行けるところまで行こうと思っていた」と充実感をにじませた。

 ツアー初優勝を飾った13年大会以来の大会2勝目。だが内容は、別人と呼べるほど違った。2位に3打差の単独首位で迎えた13年最終日は重圧に苦しみ、18番で劇的なチップインパーを決め71で何とか勝った。今年の最終日は今大会ベストスコアとなる62。「前回のスコアを超えたい」という目標もクリアし「いろんなものを抱えた中での優勝が一番の成長」と喜んだ。

 7月の全英オープンは予選落ち。「これでは世界に通用しない」と正確なショットを求め、秋以降にアイアンを全て替えた。ツアー本格参戦15年目で、シーズン中盤以降にアイアンを替えたのは初めて。「先を見据えて決断した」

 昨年、選手会長に就任。ツアー転戦の合間を縫って複数の被災地を訪問するなど重責を務めてきた。今年は夏の強化合宿を断念するほど多忙な日々を過ごしながら最多の4勝。世界ランクは57位に上昇する見込みだ。関係者によると、選手会長は任期満了となる今季で退任。2週後の14日に開幕するアジアンツアーのインドネシア・マスターズに出場し、マスターズの出場権が与えられる年内での世界ランク50位以内を目指す。来年1月は米ツアーのソニーオープンなど、積極的に世界に打って出る。

 日米通算24勝を挙げた妹の藍(32)が9月に現役を引退。「宮里家としては、藍を超えるのは自分が(海外)メジャーで勝つしかないと思ってます」。キングとなった優作の、新たな挑戦が始まる。(高橋 宏磁)

 ◆マスターズへの道 出場資格は「歴代優勝者」などに加えマスターズ前週までの米ツアー優勝者、17年12月25日時点の世界ランク50位以内、18年3月25日時点の世界ランク50位以内などがある。池田は37位で出場権獲得が確実。日本ゴルフツアー機構によると、53位の小平は49位前後に、74位の宮里は57位前後に浮上する見込み。顕著な実績を残した選手に対する「特別招待枠」もある。

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