女子プロゴルフツアーのサントリーレディス(6月7~10日、兵庫・六甲国際GC)の主催者は5日、昨年9月限りで現役を引退した同社所属プロの宮里藍さん(32)の名前を大会名に冠して「宮里藍 サントリーレディス」に変更することと、藍さんが同大会のアンバサダーに就任することを発表した。女子ツアーで日本人の選手名が冠になるのは、日本女子プロゴルフ協会の樋口久子相談役(72)に次いで2人目。
日米ツアー通算24勝の輝かしい功績に、新たな勲章が加わった。03年から所属契約を結んできたサントリーが主催する大会に、今年から自身の名が刻まれることになった。都内で会見に出席した藍さんは「想像を超えたこと。こんなに名誉なことをしていただけて、緊張感もありますけど身が引き締まる思いです。本当にうれしいです」と笑顔がはじけた。男女の国内レギュラーツアーで日本人の元選手の名前が冠されるのは、樋口久子氏と故・中村寅吉氏に続き3人目だ。
サントリーレディスはアマチュアだった中学3年の00年に初出場し、3年連続でベストアマチュア賞を獲得。「あの時の経験が、その後の大きな挑戦につながったという認識です」と感謝した。今年から同賞は「宮里藍ベストアマチュア賞」に変更される。
大会アンバサダーにも就任。112人の報道陣を前に、新しい大会ロゴ入りの特製ブレザーに袖を通した。「今までの成績を評価してくださったのだと思うので、行動内容も伴っていけたら。ジュニア育成やアマチュアの方と触れ合い、若手を育てていく。広報活動もしっかりしていきたいです」と頬を緩めた。
04年大会ではホステス優勝。国内最終戦となった昨年大会は、4日間合計のギャラリー数が大会史上最多の3万4750人を記録し、藍さんは大観衆の前で号泣した。最近はゴルフはほとんどしていないというが「18年(のサントリーレディス)は私にとってのメジャー大会になると思うので、しっかりコンディションを整えたい」。後継者を育てるべく、藍さんの“第2ステージ”での挑戦が始まる。(榎本 友一)
◆藍さんに聞く
―昨年12月以降はどう過ごしたか?
「(米国で)普通の生活を普通にしているところ。移動もなく家にずっと居られるのも新鮮。自分の時間を増やせているのが楽しい。映画を見たり本を読んだり、リラックスしてます」
―新シーズンの開幕をどう見ている?
「現役よりも時間が少しゆっくり流れているかな、と実感しています」
―コース設定も携わる?
「昨年1年、米ツアーでコースセットアップ委員会に携わらせていただいた。まだ具体的には決まっていませんが、その経験を生かしていくのも一つの道かなと」
―兄・優作が4月のマスターズに初出場する。
「招待状は見ました。オーガスタに応援しに行きます」
―20年東京五輪日本代表コーチ就任の件は?
「まだ正式にはお話をいただいていない段階なので、何とも言えないです」
◆元選手の大会名への冠 レギュラーツアーで国内女子は、三菱電機レディス(10月26~28日・武蔵丘GC)が「紀文クラシック」だった1997年から、77年全米女子プロ覇者の樋口久子相談役の名を冠している。国内男子は「日経カップ中村寅吉メモリアル」が85年から98年まで行われた。ゴルファー以外では、2007年から「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」も行われている。米男子では通算62勝のアーノルド・パーマー、米女子では通算27勝のロレーナ・オチョアらレジェンドの名前が刻まれている。