市原弘大、メジャー初V 5差5位から「ビックリ」大逆転


初優勝を決め、谷口徹(左)らにウォーターシャワーで祝福される市原弘大(カメラ・堺 恒志)

 ◆男子プロゴルフツアーメジャー第2戦 日本ツアー選手権森ビル杯最終日(3日、茨城・宍戸ヒルズCC)

 5打差5位で出たプロ18年目の市原弘大(36)=フリー=が8バーディー、3ボギーのベストスコア66で回り、通算12アンダーで初優勝をメジャーの大舞台で飾った。15年から師事してきた谷口徹(50)が5月のメジャー、日本プロを最年長で制した姿に発奮。5年シードに加え7月の海外メジャー、全英オープン(カーヌスティGL)と8月の世界選手権シリーズ、ブリヂストン招待の出場権もつかんだ。

 夏日の茨城で、市原は初めて浴びる歓喜のウォーターシャワーに酔いしれた。1打差2位で迎えた最終18番。16ヤードを58度のウェッジで放った第3打が、ゆっくりとカップへ消えた。劇的なチップインバーディーで首位に並ぶと、後続の時松がボギーを叩き初Vが決まった。「アテスト(スコアカード提出所)まで首位に並んでいたとは知らなかった。僕が一番ビックリしていますね」

 プレーオフに備えていた練習グリーンで、仲間から手荒い祝福を受けた。第19回大会で8人目の初優勝者。15年オフから宮崎合宿で世話になっている谷口からも「奇跡やな。おめでとう」と水をかけられた。「光栄だし、本当にありがたい」。今大会終了時の賞金ランク上位2人が全英切符を獲得するが、開幕前まで1位だった谷口を3位にはじき出した。

 3週間前、立場は逆だった。日本プロで谷口が逆転優勝。自身は予選落ちだったが「14番から谷口さんの組について歩いて、刺激になって泣きました」と祝福の水をかけた。「優勝争いでも普段と変わらずリラックスして歩いていた。悪いショットが出ても下を向いたり、カリカリして早歩きにならないように」と翌週から見習った。この日も14番のボギーで4打差まで開いたが「へこたれている暇はない。谷口さんに『まだまだやな』って言われちゃう」と堂々と歩いた。15番、16番で4メートルを流し込んでV争いに食らいついた。

 01年にアジアンツアーでプロ転向。だが05年に腰のヘルニアで1年近くクラブを握れず、昨年は左手親指痛で賞金シードを逃すなどけがに悩まされてきた。歴代9番目のスロー初Vに父・邦夫氏(68)も「こんなことがあるなんてうそみたい」と笑顔。それを見て息子は男泣きした。海外志向は強く、2年ぶり3回目の全英へ「ゴルフを通じていろいろな世界を見ながら楽しむ」と気合を入れた。遅咲きの36歳が再び世界に挑む。(榎本 友一)

 ◆市原 弘大(いちはら・こうだい)1982年5月29日、東京都生まれ。36歳。3歳でゴルフを始め、向原中―埼玉平成高時代の97、00年に日本ジュニアで優勝。01年にプロ転向し、03年に下部ツアー1勝。パターイップスや故障に泣かされるも、10年に賞金ランク58位で初のシード権を獲得。昨季は賞金ランク88位でシードを逃し、今季は最終予選会10位の資格で出場。過去最高順位は16年ミズノオープンの2位。171センチ、78キロ。

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