石川遼、熱中症?点滴打ってプレー…背筋に痛み、食事も取れずも不屈の30位浮上


移動中、首に氷のうを当てながら歩く石川遼(カメラ・渡辺 了文)

移動中、首に氷のうを当てながら歩く石川遼(カメラ・渡辺 了文)

 ◆男子プロゴルフツアーRIZAP・KBCオーガスタ 第2日(24日、福岡・芥屋GC、7151ヤード=パー72)

 16年大会覇者の石川遼選手会長(26)=カシオ=が体調不良を押して強行出場し、風の強い難条件下でギャラリーを沸かせ続けた。熱中症のような症状で、点滴を打って出場すると32位から出て1イーグル、3バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの73で回り、通算1アンダーの30位へと浮上した。プロ8年目の出水田(いずみだ)大二郎(25)=TOSS=が19位で出て69で回り、6アンダーの単独首位へと浮上。飛距離を武器に悲願の初優勝を目指す。

 連日気温30度超えの猛暑の中、体調不良の石川は懸命のプレーを続けた。最終18番。ティーグラウンドでしばらく額に氷のうを当てて、ぼうぜんとたたずんだ。ミスが相次ぎ、4オン3パットのダブルボギー。ラウンド後、報道陣に囲まれると「(体調は)大丈夫だと思います。自分の判断で、できると思うからやりました」と気丈に話した。

 前日も強い日差しの下でプレーし、チャリティーサイン会にも出席した。「ズキズキと背筋が痛んで。胃けいれんのような感じ」とこの日、起床時から異変を感じた。正午過ぎのスタートに合わせてコースへ。レストランで食事を取ろうとしたが「ご飯が全然食べられなくて」。ツアー会場には看護師しか常駐しておらず、近くの病院から医師を呼んだ。「相談して点滴を打ってもらいました」。会場内で点滴を受け、軽めの練習でティーオフした。

 プロ魂でコース内では“千両役者”を演じ切った。日傘と氷のうを手に好プレーを連発。422ヤードの1番パー4ではドライバーを鋭く振り抜くと、追い風に乗ってグリーン左手前のフェアウェーへ。ウェッジでピン左50センチにつけてバーディー発進。9番パー5では、残り204ヤードから5アイアンでピン左奥6メートルに2オンしてのイーグル。大喝采の中で右手を突き出した。

 ラウンド後は練習はせず写真を求めるファンに笑顔で対応し、車で近くの病院へ。25日朝に出場可否を判断するが「やるんだったら優勝を目指すことしか考えていない」と石川。08年のプロ転向後、一度も棄権のないファン思いの責任感の塊。不屈の闘志で困難を乗り切る。(榎本 友一)

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