「超ネガティブ」の木下裕太が初の首位 「どうしたらいいのか…」


18番でホールアウトし、アンソニー・クウェイル(右)と握手を交わす木下裕太

18番でホールアウトし、アンソニー・クウェイル(右)と握手を交わす木下裕太

 ◆男子プロゴルフツアー マイナビABC選手権 第2日(26日、兵庫・ABCGC=7217ヤード、パー72)

 2位から出た木下裕太(32)=フリー=が5バーディー、ボギーなしの67で回り、通算11アンダーで初めての首位に立った。「僕は超ネガティブなんです。こんないい位置は初めてなので、どうしたらいいのか分かりません」。一見、こわ面の32歳は初優勝に向けて恐縮した様子で話した。

 1打差2位はオーストラリアのブレンダン・ジョーンズ(43)=キャロウェイゴルフ=。10年前の今大会、最終日18番でウォーターショットを決め、プロ初優勝を飾った石川遼(27)=カシオ=は2日連続の71で28位と変わらず。永久シード選手の尾崎将司(71)=セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ=は5番ホール終了後、腰痛のため今季4度目の途中棄権となった。

 名物ホールの最終18番パー5。残り230ヤードの第2打を3ウッドでピン奥2メートルにつけてイーグル逃しの楽々バーディー。堂々の単独首位に立った木下裕は、まるで予選落ちした選手のように恐縮していた。今季からファンサービスの一環としてギャラリープラザで行われている「ヒーローインタビュー」。木下裕は初めて呼ばれたが、これまで賞金シードを獲得したことがなく、一般ファンの知名度は低いため、盛り上がりに欠いた。

 司会者が「質問のある人、どうぞ」と呼びかけても反応なし。社会科見学として会場に訪れていた小学生のひとりがスタッフに促されてようやく質問した。

 「ブリの切り身は好きですか?」

 素なのか、ボケなのか、不明な質問に対し「魚は嫌いです。肉ばかり食べています」と律義に答えた。

 木下裕太のマイナス思考は筋金入りだ。第1日を1打差2位と好発進したが、この日のスタート前に考えたことは「これで予選落ちしたら恥ずかしい」だった。超マイナス思考がプラスに働くこともある。「逃げまくることばかり考えているので大きなミスは少ない」と冷静に話す。

 ただ、猛者ぞろいのプロトーナメントが、逃げまくって勝てるほど甘くないことは十分に承知している。「あと2日、どれだけ我慢できるか。バカになれるか」。木下裕は自らに言い聞かせるように話した。「弱気なヒーロー」の決勝ラウンドの戦いに注目だ。

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