ヤンキー系プロ木下裕太が首位キープ「実は気弱です。見た目だけでも」


1番、バーディーパットを決め、笑顔を見せる木下裕太

1番、バーディーパットを決め、笑顔を見せる木下裕太

 ◆男子プロゴルフツアーマイナビABC選手権 第3日(27日、兵庫・ABCGC=7217ヤード、パー72)

 首位からスタートした木下裕太(32)=フリー=が5バーディー、4ボギーの71と踏ん張り、通算12アンダーで首位をキープした。見た目はヤンキー系だが「めちゃくちゃ気が弱い」と正直に話す個性派が、初の最終日最終組で念願の初優勝を目指す。韓国のH・W・リュー(37)=フリー=も首位。2打差3位に川村昌弘(25)=アンテナ=、オーストラリアのブレンダン・ジョーンズ(43)=キャロウェイゴルフ=が続く。

 最終18番パー5。首位から陥落し、1打差2位に後退していた木下裕の第1打は左バンカーにつかまった。ピンまで217ヤード。グリーン手前には大きな池が広がる。

 「最初は刻もうと思ったけど、腹をくくった」。5ウッドで放った第2打は池を越え、グリーン左エッジへ。20メートルのイーグルトライをパターで1・5メートルに寄せてバーディー奪取。同時に首位タイに返り咲いた。

 茶髪で目つきは鋭い。一見、ヤンキー系だが「めちゃくちゃ気が弱いんです。見た目だけでも偽らないとゴルフをやっていられないので」と恐縮した様子で話す。2007年にプロテストに合格した時は金髪でロン毛だった。「日本プロゴルフ協会の方にすごく怒られましたよ」と苦笑いする。酒豪と勘違いされることも多いが「お酒は飲めません。ビール1杯で吐いてしまいます」と真顔で話した。

 自身の性格も「超ネガティブ」と評する。プロ11年目で念願の初優勝のチャンスをつかんだが「楽しみ20パーセント、不安80パーセントです」と気弱に話した。

 千葉市出身。8歳からゴルフを始め、多くのジュニアゴルファーを育てた北谷津ゴルフガーデンで腕を磨いた。同じ練習場にはツアー通算20勝を誇る池田勇太がいた。ジュニア時代、池田との戦績は「10回やって1回勝てるぐらい」。1歳上に強烈な先輩がいたことを今では深く感謝する。「あの人に勝てば全国でも勝負できる。恵まれた環境でした」としみじみと話す。

 初の最終日最終組に臨む。「最終日、中止になりませんかね」。最後まで弱気な言葉に終始したが、自らの弱さを認めることができる32歳は、本当は強いのかもしれない。

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