女子プロゴルフツアーの開幕戦、ダイキンオーキッドレディスが7日、沖縄でスタートした。第2日は雨となったが10番、比嘉真美子はイーグルでギャラリーを沸かせた。ツアー4勝の実力者は2位に3打差をつけ優勝。一方で、美女ゴルファー・熊谷かほ(23)=フリー=は11オーバーの104位で予選落ち。話を聞くため、18番グリーンから上がってくる彼女を待った。
記者が持参した折りたたみの傘を熊谷に渡し、立ったまま1対1で取材は始まった。質疑応答を3つほど終えて、ふと左手に傘を持つ熊谷を見ると、右肩がぬれていた。記者が持つノートの真上に傘があった。熊谷はノートがぬれないように傘を持ってくれていたのだ。選手の体を冷やすまいと「気づかなくてすいません」と傘を押し戻した。同世代の女子プロの気遣いに胸が熱くなった。
熊谷は16年のプロテストに合格したが、レギュラーツアーにはほぼ参戦できず、主戦場は下部ツアーだった。プロ3年目の昨季、最終予選会で15位に入り、今季前半戦の出場権を獲得。同期の永井花奈、川岸史果らに遅れてのツアー本格参戦だけに「ようやくつかみ取ったチャンス。プロとしてのスタートはここからだから」と前だけを向く。
先日、ノルディック複合で18年平昌五輪個人ノーマルヒル銀メダルの渡部暁斗の取材に行った。海外遠征の前だった。午前の便での出発前に「わざわざ早い時間にありがとうございます」と集まった報道陣に言った。強い人に共通するのは、周囲への気遣い。視野の広さや、心の余裕があってこそだろう。
熊谷はツアー2戦目のヨコハマタイヤPRGRレディス(高知・土佐CC)ではカットラインに一打及ばず、通算3オーバーの58位タイで2試合連続予選落ちとなった。いつか晴れの日は来る。強さを見せてくれると期待している。(宮下 京香)