キャロウェイから面白いボールが発売された。ヘッドスピード(HS)別に開発されたツアー系ボールの「SR1」「SR2」「SR3」だ。HS秒速47メートル以上というSR3の設定にも驚くが、SR1の40メートル以下も、ありそうでなかった。ほかに気になるアイアン、パター、シューズの新モデルも含めて、シニア記者がまとめて試してみた。
ニュービッグバーサの発表会場で話題になったのが、このSR3だった。「ヘッドスピード47メートル以上?」「そんなアマチュア、いる?」オジサン記者にはにわかに信じられないが、同社開発陣は「需要はあると思いますよ」と自信満々だった。
そもそも、我々一般アマのボール選びは、いい加減だ。HSの速い人やスピンを重視する人がツアー(スピン)系、遅い人や少しでも飛ばしたい人はディスタンス系ということぐらいは知っている。しかし「プロが使っている」「もらったので」「飛ぶと聞いた」といった何となくの理由で決めている人がほとんどだろう。自分のHSにあったボールを選べば、ゴルフはもっと楽しくなる。キャロウェイの開発コンセプトは確かにうなずける。
さてSRだ。まずHSごとにコア、中間層、カバーを独自開発。ボールを飛ばすには適度に潰れなくてはいけないから、HS秒速40メートル以下向けのSR1(4層)は柔らかく、40~47メートル向けのSR2、47メートル以上のSR3(ともに5層)と順に硬くなっていく。
ディンプル(同社はエアロネットワークと呼ぶ)パターンも変えた。落ち際の飛距離を伸ばすには揚力を上げる必要があるが、それは抵抗を増やすことでもある。HSの速い人がそういうボールを打つと、打ち出し直後の抵抗力が強く、吹け上がって飛距離が伸びない。そこでHSの遅い人向けには揚力をあげ(SR1)、速い人には抵抗力を減らし(SR3)、中間の人にはその両立のボール(SR2)が合うというわけだ。
ボールを試すにはコースに限るのだが、あいにくの雪でどこもクローズ。やむなくキャロウェイ本社試打室を訪ねると、松井功プロがフィッティングに来ていた。シメシメ。打ってもらって印象を聞いてみよう。
―SR1はどうです?
「すごく柔らかいね。よく上がるし、財界トップの方なんかには、いいだろうね」
―SR3も打って見てください。
「こっちは硬い。初速は明らかにこっちのほうが速い。スピンも利く」
―で、プロの選択はSR2ですか?
「1と3のいいとこ取りしてる感じかな。でも、1と迷うね。こんな柔らかいツアー系のボールはなかったでしょう」
記者も打ってみたが、SR3は硬いといっても、これまでのキャロウェイの旗艦ボール、ヘックス・ブラック・ツアーに比べると明らかに柔らかい。SR1の柔らかさがそれを上回るという話だ。
考えてみれば47メートル以上の設定もすごいが、40メートル以下のツアー系ボールも初めてかもしれない。若い頃はスピンの利いた球でピンをデッドに攻めていた上級者が、年を取ったというだけでディスタンス系を使わされ、グリーンで止まらない悲哀を味わう。そんなかつての腕自慢にピッタリなのがSR1だ。SR3も、硬めでスピンが利く球が好きな人なら、HS47以下でも十分に使える。新たにキャロウェイと契約した佐伯三貴も、あえて3に決めた。一番、大事なのはボール。ぜひ一度、試してみてください。