驚異のエージシューター田中菊雄の世界113 武藤一彦のコラムー出た12アンダー


 出た!12アンダーの最多アンダー記録だ。5月29、30の両日、栃木県足利市の東松苑(とうしょうえん)GCで行われる「関東グランドシニア選手権」に向け田中さんの調子があがっている。東松苑といえば日本のツアー史上を飾るAONの一人、中島常幸プロのホームコース。中島を育てた父・巌氏の設計コースで知られるが、そのことはあとにおいて今は田中さんだ。 関東グランドシニアの関東地区の予選会を81のエージシュート、並みいる強豪トップアマに交じって、24位で通過したことは前回お伝えしたが、そのあとさらに好調にエージシュートは急増中。すると12アンダーのエージシュートアンダー自己記録更新、さらに19ラウンド連続エージシュートと目を見張る活躍である。

 

 その経緯を田中さんのメモを頼りに日記風に紹介する。
 「4月15(月)本厚木CCのトーナメントコースを使った関東グランドシニア予選。インスタート、39、42の81の24位で本選出場を決める。エージシュート通算420回達成」
 「16日、よみうりGC、イン41、40の80、エージシュート421回」
 「17日、よみうりGC、芝刈会。39、40で79。422回」
 「18日、木更津GC、さわやか会。41、41、82。423回」
 「19日、木更津GC、北親会コンペ。イン39、43、82で優勝。424回」
 21日「前20日、会社出勤後、木更津泊まり。木更津のグランドシニア第1ラウンドを39、38の77。エージシュート7アンダーで425回目達成」
 「23日、よみうりGC、イン39、38で77、426回」
 「24日、東京よみうりCC、イン40、43で83、427回」
 「26日、東京よみうりCC、イン43、40で83、428回」
 「28日、前夜、木更津泊。木更津GCのグランドシニア選手権決勝、バックティーから42、39、81。429回」
 「29日よみうりGC、イン42、42で84。午後風出る中430回」
 「30日よみうりGC、41、43で84。雨の中、田中柳水(りゅうすい)ドクターと回り431回」
 以上が4月15日から30日まで12ラウンド、連続のエージシュートである。全記録が手元にあるので4月のデータをまとめるとラウンド数21、内エージシュートが終盤の12連続に加え6ラウンドの18ラウンド。失敗したのは雨で、やむをえずハーフでやめたのを含めわずか3ラウンドだけ。ラウンドしなかったのは9日間だけだった。先を急ごう。5月である。
 「5月1日、末弟の勝利(かつとし)とよみうりGC。イン44、40で84、432回。エージシュート連続記録は13回」
 「2日、今日も勝利と。アウト37、39の76、8アンダーエージシュート433回。連続記録は14回になった」―
 このラウンドのあと、田中さんは新幹線で新潟に行く。地元・川崎の帝京病院のドクター・築根吉彦氏らと、5、6年前から続く新潟ゴルフの旅に出た。
 「5月3日、新潟・ノーブルウッドGC、38、41、79で434回エージシュート達成。連続記録は15回と伸びた」
 「4日、中条GC、40、41、81で、435回、連続16回」
 「5日、新潟最終日の紫雲ゴルフ倶楽部・加治川コース、35、37の72のパープレーで436回目。連続記録は17回を数えた」

 

 12アンダーのエージシュートは19年2月、田中さん、83歳の時、よみうりGCを72、11アンダーで回った従来のアンダー記録を1打上回る最多アンダー記録。3月3日の誕生日を迎え年齢が増えたおかげで同スコアながらこの日、新記録の誕生となった。このあたり、加齢にもめげず頑張ると“いいことがある”、エージシュートならではのだいご味に、田中さん、満足感にひたるのだった。「新潟に入る前日のよみうりGCで浪崎プロからいいヒントをもらいその日、76でエージシュートに8アンダーとビッグスコア。アイアンショットが良くなり欠点が矯正された」と自信を持った。連続記録は17回と伸び、エージシュートは436回。記録はこの後、帰京してさらに伸びた。それにしても84歳で72で回る底力はすごい。その迫力のラウンドは次回。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。84歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。