成田美寿々が逆転V! パワーの源は五輪への思いと夏でも連日の鍋料理


逆転で今季2勝目を挙げた成田美寿々は、夏の富士山をバックに優勝トロフィーを突き上げた

逆転で今季2勝目を挙げた成田美寿々は、夏の富士山をバックに優勝トロフィーを突き上げた

 ◆女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス 最終日(4日、山梨・鳴沢GC=6605ヤード、パー72)

 2打差の3位から出た成田美寿々(26)=オンワードホールディングス=が5バーディー、3ボギーの70で回り、通算11アンダーで逆転優勝。4月のヤマハレディース葛城に続き、今季2勝目、通算13勝目を挙げた。13勝のうち9勝が逆転Vで、7勝が4日間大会。充実期を迎えた26歳は来年の東京五輪で日本代表入りを目指す。

 首位から出た有村智恵(31)=日本HP=は3バーディー、4ボギーの73とスコアを落とし、韓国のペ・ソンウ(25)=Samchully=とともに1打差2位に終わった。10試合ぶりに予選を通過し、28位から出た美人プロの三浦桃香(20)=アウトソーシング=は72で回り、今季自己最高の23位。さらに、今大会の平均飛距離1位(267・25ヤード)となり、特別賞金100万円をゲットした。

 入れれば優勝、外せば3人のプレーオフ。最終18番、1メートルのパーパットはカップの縁を半周回って、カコンと落ちた。

 「やっちまった!と思いましたけど。久しぶりに手が震えた」今季2勝目、通算13勝目を挙げた成田は苦笑いしながらウィニングパットを振り返った。

 首位の有村と2打差の3位からスタート。ツアーで唯一となるパー3の1番ホールから攻めた。9アイアンで1・5メートルにピタリとつけてバーディー発進。「練習場で最後の一発は1番ホールで使う9アイアンでティーアップしてビシッといい球を打った。いいイメージを出せたのだろう」コーチで父の俊弘さんは会心ショットが生まれた理由を明かした。

 16番パー4で5メートルのバーディーパットを沈めて首位浮上。最終18番は「かなりヒヤリとした」が、見事な逆転Vを飾った。今年4月のヤマハレディース葛城を含めて通算13勝のうち9勝が逆転劇。得意の勝ちパターンについて「追いかける方が絶対に楽。スコアを伸ばせばいいでしょ、みたいな感じで」と豪快に笑った。

 パワフルな26歳の活力源は五輪への熱い思いと、真夏でも連夜、家族と囲む熱い鍋料理だ。

 スポーツ少女だった成田は五輪へのこだわりが強い。「スポーツの頂点は五輪だと思っています。水泳の北島康介さんとソフトボールの上野由岐子さんが特に印象に残っています。負け惜しみではなくて、メジャーより五輪です」。海外メジャーの全英女子オープンで大活躍中の渋野日向子(20)=RSK山陽放送=を意識しながら笑顔で話した。

 来年の東京五輪の日本代表は世界ランクで決まる。現在、日本勢で9番手。日本代表の座をつかむために「五輪まで、あと6~8勝しなければならない。今季中にあと3勝できると思っています」と意気込んだ。

 今大会は雷による中断が相次ぎ、連日、長丁場が強いられた。最終日も力強いゴルフを見せつけた成田を支えたのは真夏の鍋料理だった。ツアーに帯同する俊弘さんは、常に鍋とIH調理器を持ち運び、夕食はホテルの部屋で鍋を囲む。

 「今週も試合が始まったら、毎日、鍋でした。肉と野菜をたくさん買い込みますよ。栄養があっていいでしょう。昨晩は塩味の鳥鍋でした。美寿々は夜にうどんやご飯など炭水化物はとらない。もちろん、お酒も飲まない。私はビールを飲むし、シメでうどんを食べますけどね。外食するよりいいでしょう。すぐ寝られるし。寝る子は育つ、ですよ」

 俊弘さんは、勝利の要因のひとつになった家族だんらんをうれしそうに話す。

 趣味は宝塚歌劇団の鑑賞。休養に充てた先週も、自宅がある千葉・市原市から大阪の梅田芸術劇場まで日帰りで“弾丸観戦”し、リフレッシュした。宝塚の男役のような雰囲気を持つ26歳はスター性抜群。「逆転の成田」は東京五輪のヒロインになれる可能性を秘めている。

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