【古閑美保の目】渋野日向子には天性の体の強さある!まだまだ通過点


 渋野さんのプレーには人間の神秘を感じました。これほど力があるとは、本人も分かっていなかったと思います。自分に置き換えてみても、メジャーの優勝争いの中であんなに笑えない。人間って、すごいなと思いました。

 3番での4パット後も強気にパットを打ち続けたことが素晴らしい。普通は怖くなってカップへ寄せにいきますが、彼女は違いました。18番のパットも入れることしか考えていない打ち方。外れたら2メートルはオーバーしていますが、こちらの方が入る確率は上がります。

 スイングではインパクトで頭が右に残り、手首を返して球を運べます。手首が強いのでスピンのかかったボールが打て、手足の長さや体の大きさを生かしてボールを上からたたくことができます。

 私の現役時代は不動裕理さんや宮里藍ちゃんがトップに君臨していましたが、外国勢と比べて体格には恵まれていませんでした。トップに上り詰めた要因は努力、プレーの再現性、ショートゲーム。でも渋野さんには持って生まれた体の強さがある。ゴルフは他競技の人から「簡単にできるんでしょ」とナメられる傾向にあるけど、今後は米男子ツアーのようにアスリート性が高くなることが期待できます。

 私は渋野さんがワールドレディスサロンパスカップで優勝した時、スポーツ報知の評論で「伸びしろの塊」と書きましたが、その予想をはるかに超える成長でした。あり得ないパターンだし、ぶっ飛んでます。すごいことをやったけど、まだまだこれからの選手。偉業でさえも通過点だと思います。(08年賞金女王)

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