笠りつ子、引退考えた…23日ぶり公の場で不適切発言を涙の謝罪


報道陣を前に涙ながらに謝罪会見を行った笠りつ子(カメラ・豊田 秀一)

報道陣を前に涙ながらに謝罪会見を行った笠りつ子(カメラ・豊田 秀一)

 10月の女子ゴルフツアー会場で大会関係者に不適切発言をし、12日に厳重注意などの処分が科された、通算5勝の笠りつ子(32)=京セラ=が19日、大王製紙エリエールレディス(21日開幕、愛媛・エリエールGC松山)のコースで涙の謝罪を行った。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が選手側に行った騒動の経過に関する説明会に出席後、報道陣の取材に応じ、引退も考えたことを明かした。

 上下黒のスーツを身にまとった笠は30人近くの報道陣の前で騒動後初めて口を開いた。「このたびは私の不適切な発言により、全ての大会主催者、運営の皆様、LPGA、選手の皆様、ゴルフファンの皆様に対し、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」と、深々と頭を下げ、涙ながらに謝罪した。

 10月のツアー会場で風呂場にタオルがなかったことが原因で、大会関係者に不適切な言葉を浴びせたことについて「押し問答になったが、私が自らの至らなさで暴言を吐いてしまったことは事実」と神妙に話した。

 同週の最終日以来、23日ぶりに公の場に姿を見せ、「今回の発言をしてしまいゴルフを辞めようと思っていた」と一時は引退を考えたことも明かした。エリエールレディスは一身上の都合で欠場することを既に表明。賞金ランク29位で2年ぶりのシードを確定させているが、今季ツアーには出場しない。「実際ゴルフに対する気力がなくなってしまった」と理由を説明し、練習もしていない。年末は新人セミナーを3日間受講し、オフの仕事も自粛する。

 今後は「自分を見つめ直したい」とし、スポンサーなどに謝罪に出向く。「LPGAや主催者の皆様に迷惑をかけた中で、朝から晩まで私の周りの方が(謝罪に)動いてくれているのを見て、辞めるとか逃げてしまうことはダメだと思った。しっかりおわびをしたい。ゴルフ界やジュニアゴルファーのことを思い、これからやっていきたい」と気持ちを語った。来年3月に予定される来季ツアー開幕戦については「気持ちが前向きになって100%で挑めたら出ます」と、出場を示唆した。

 ◆笠の騒動経過

 ▽10月 NOBUTA GROUP マスターズGCレディース(24~27日)の週に、会場で大会関係者に不適切な言葉を浴びせる。大会側はこれまでクラブハウス内の風呂場にタオルを設置していたが、なくなることが多くなり設置を中止。理由説明を求めた際に不適切な発言をした。

 ▽同31日 「お詫(わ)びと今後の活動についてのご報告」と題した直筆の文面で当面のツアー出場自粛を発表。

 ▽11月11日 LPGAによる懲戒諮問委員会と理事会が開催。

 ▽同12日 厳重注意処分を科され、3日間の新人セミナー受講が義務づけられる。

 ▽同16日 復帰を予定していたエリエールレディスを一身上の都合により欠場することを発表。

 ◆笠 りつ子(りゅう・りつこ)1987年11月4日、熊本・菊池郡生まれ。32歳。ゴルフ場を経営する父の影響で9歳から競技を始める。熊本・東海大二高(現・東海大付属熊本星翔)卒業後の2006年にプロ転向。10年に初シードを獲得し、11年にニトリレディスで初優勝。16年には日本人最上位となる賞金ランク3位に入った。通算5勝。160センチ、58キロ。

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